《 コレクティブハウスの暮らし 》Vol.012

コレクティブハウスの食事(コモンミール)事情―コロナ前とコロナ中

投稿日:2021年12月23日 更新日:

皆さん、こんにちは。コレクティブ研究家の久保有美です。
私はコレクティブな暮らし方=「つながり、ともに働く、フラットな関係」という暮らし方について日々考え活動しています。

もう2021年も終わりますね。このコラムも今年から始めて12回目となりました。

私の暮らしているコレクティブハウスには0歳児から70代までという多世代の人たちが 暮らしています(2021 年11月末現時点)。このコロナ禍でも入居者の入れ替わりはあり、コレクティブハウスでの暮らしもさまざまに変化しています。

コロナ前のコレクティブハウスの暮らしが一番わかりやすいと思える「コモンミール」ですが、コロナ禍でその様子も変わってきました。Vol.002でコモンミールのつくり方「コモンミールって大変じゃない?!」を書きましたが、コモンミールはつくるだけでなく、食べるところまで仕組みとなっていたことを最近特に感じるようになりました。

コモンミールは居住者全体の「夕食の協同化」です。夕食はつくるだけではなく、つくったら食べます。コロナ禍になってからは、コモンルーム(居住者の共有ダイニングスペース)で食べることがほとんどなくなりました。新型コロナウィルスは、飛沫感染が中心であり、食事中の会話は感染拡大防止において大きなポイントになることは皆さんよくご存知だと思います。

私の暮らしているコレクティブハウスでは、コモンミールをつくり続けていますが、他のコレクティブハウスではコモンミールをつくることをやめてしまったハウスもあります。私たちのハウスは、感染拡大防止に努めながら、つくることをやめませんでした。ただ、みんなで集まって食べることはやめています。コロナ禍でコレクティブハウスでの暮らしは、コモンミールをつくることはできても、一緒に食べることができなくなったという点で大きく変わりました。

今までも“コモンミールをみんなで食べる”ということを必須としてきたわけではなく、コモンルームで食べるかどうかは各自の判断でした。その判断の要素に新型コロナが加わり感染拡大を考えれば、自室で食べるという選択をする人が多くなった、ということです。

コロナ前に訪れたスウェーデンのコレクティブハウス 食事準備中のコモンルーム

いろいろなところでコモンミールの話をすると、多くの方から「何時から一緒に食べるのか?」という質問をいただきます。その質問を聞くと、大人数のご飯をつくって、それをみんな一緒に食べるという、まかないや食事付き寮のイメージが強いのだなと実感します。いつどこで誰と食べるか、それは自分が決めればよく、誰かに決められることではありません。

コモンミールはだいたい19時を目安につくりますが、早くできることもありますし、19時を過ぎることもあります。ですので、19時ごろにコモンルームに人が集まることが多かったですが、コロナ禍ではミールを取りに来るという人が多くなりました。

コロナ前、私はミールを頼んでいる日はできるだけコモンルームで食べるようにしていました。でき上がったミールを誰かと一緒に食べる時間は私にとって豊かな時間だからです。コモンルームにいると、普段なかなか会わない居住者に会えたり、一緒に子どもたちとミールを食べることもあったりします。

単身者である私にしてみると子どもたちと一緒にご飯を食べることは、日常的にはありません。ですが、子どもたちとの関わりの回でもお伝えしましたが、双方向のコミュニケーションがコモンミールを一緒に食べるシーンにもあります。

子どもたちと食事をともにすると、子どもたちの成長を感じます。同じご飯を頼んでいるので、子どもたちの箸の進み具合もよくわかります。ですので、「もうそんなものも食べられるのね!」「好き嫌いなくいっぱいご飯を食べて偉いね!」「これも美味しいからちょっと食べてみたら?」などと会話をしながらご飯を食べるということもよくありました。もちろん、話しかけてもどういう反応をするのかは子どもたちそれぞれに違います。夢中でご飯を食べる子も、軽い返事だけという子も、ほかのいろいろなことを話し始めてしまってご飯が止まってしまう子もいます。同じテーブルでご飯を食べると、まるで家族のように、その日あった嬉しかったことを話してくれる子もいます。

そんな機会も、コロナ禍でめっきり減りました。私もコモンルームで食べるより自室で食べることが多くなったからです。コモンルームで席を離して食べることももちろんできますが、食事を一緒にすると、ついつい話をしたくなるからです。

コレクティブハウスでの暮らしは、コモンミールに限らず、会話をする機会が多いですが、一緒に食事をする機会がなくなって、とてもさみしい気持ちになることが多くなりました。子どもたちとだけでなく、大人同士で他愛もない会話やハウスのことなどを話しながらとる食事は私にとってはすごく大事な時間だったと、機会を失ってから強く感じるのです。

日常的なコミュニケーションがハウス全体で減少していることは、このコロナ禍において大きな課題だなと感じています。居住者同士のコミュニケーションの機会を増やすため、外で作業をしたり換気しながらの映画鑑賞をともにする機会を作ったりしていましたが、会話しながらミールを食べる日が早く再開できる状況になれば良いなと思っています。

居住者だけでなく、ゲストや友人、居住していない家族も一緒にミールを食べることもこれまではありました。再開すれば、コレクティブハウスの暮らしに興味のある読者の方にもコモンミールを通して暮らしを実感してもらえる機会をつくれます。その日が早く訪れるよう強く願っています。

文:久保有美

  • この記事を書いた人

久保 有美

不動産フリーエージェント。京都出身(京都いうても西の方) 好きな数字:3&9 宅地建物取引士 社会福祉士 賃貸不動産経営管理士 大学でコレクティブハウスという暮らし方に出会う。京都でコレクティブをやりたいと言い続け、建築会社・不動産コンサルティング会社を経て2021年に独立。 新たな暮らし方の提案、福祉と不動産の連携を目指す。

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