《 世界のワクワク住宅 》Vol.003

秘密の扉をつくる会社 ~アリゾナ州ギルバート(アメリカ)~

投稿日:2018年2月15日 更新日:

「秘密の扉」と聞いて何を連想するだろうか。スパイ映画やファンタジー? たしかに007や「ハリー・ポッター」シリーズ、『不思議の国のアリス』では、秘密の扉・部屋が重要な仕掛けだ。『ドラえもん』には「どこでもドア」があり、そこに時間の要素が加わればタイムマシンになる!

だが、「秘密の扉」は身近にもたくさん実在する、と『ニューヨーク・タイムズ』は伝える。家のリフォームで壊した壁の向こうに予期せぬ部屋が見つかったり〔偶然の発見に喜んだオーナーは『ナルニア国物語』にならって、子ども部屋のクローゼットに秘密の入口を作ったそうだ〕、女優のケイティ・ホームズが秘密の扉から流行りの自然食品店に姿を現すと話題になったり。トライベッカ地区の超高級マンションはフォーシーズンズホテルと秘密の扉でつながっているのが魅力の一つ。これはセレブの特権を象徴する扉。一方、禁酒法時代にもぐり酒場だったマンハッタンの21クラブでは、今も秘密の扉がワインセラーを守る。こちらは暗い時代を反映する扉。アンネ・フランクとその家族も生きのびるために秘密の扉が必要だった。

さて、今日なお秘密の扉の需要は増大を続けているという。アリゾナ州ギルバートのクリエイティヴ・ホーム・エンジニアリング(CHE:Creative Home Engeneering)は秘密の扉を専門に設計施工する会社で、2003年にスティーヴ・ハンブルが起業した。当時、医療器具の設計技師だったスティーヴは部屋数の多い家に友人数名と暮らしていて、隠し扉や秘密の部屋の仕掛けを作りたくなったのだという。彼によると、「何かを隠す、仕掛けを楽しむという動機で秘密の扉を作るケースがほとんど」。隠したいものって? 「貴重なコレクションや銃器類。単に収納スペースを隠したいとか。大家さんから設置を禁止された洗濯機・乾燥機を隠す扉を作った人もいます」。

パニックルームや金庫室のための堅牢なドアや施錠も同社の得意分野で、監視カメラの装着やICカードによる開閉等のオプションもあり、世界各国の政府機関・企業から受注しているという。

秘密の扉でもっとも一般的なのは本棚や姿見が扉になっているタイプ。手前に引くドア、押し戸、引き戸、観音開き、と開き方はさまざま。色調・材質・デザインも豊富だ。

このほか、壁面や作り付けの家具の一部が秘密の扉で、見えない部屋・金庫室を隠す仕様も多い。珍しいところでは階段や暖炉が扉という例。一見普通の収納戸棚の、奥板を押すとその向こうにスペースが現れることもある。

実際問題として、CHEは日本にも扉を届けてくれるのだろうか? スティーヴ本人が『ワクワク賃貸』に回答してくれた。「日本からの注文にも喜んで対応します。CHEのドアは簡単な工事で設置できるのでご安心ください。もちろんそのためには、設置場所、デザイン、寸法、材質などについて写真や設計図をやりとりして綿密な打ち合わせを重ねます」。予算は? 「既成品なら2500ドルから、カスタムメイドなら8500ドルから」。シンプルな鏡から高級キャビネットまで、予算には上限がない。

ところで、非日常的な空間を日常の中に作る際、それを秘密にする理由は? もちろんセキュリティ面で必要な場合もあるだろうが…。発達心理学が専門のミシガン大学のエリザベス・グッドノーは言う。「子どもが自分だけの秘密の場所を持つ経験は、自己の内面を成長させるうえで決定的に重要です。大人にとってもそのような空間は大きな意味を持つと思われます」。社会や日常と隔絶し、自分と静かに向き合う…秘密の扉にはそういう場所を可能にする機能もあるらしい。

大切なコレクションを保管するため、現実からしばし逃れてリラックスするため、あるいは扉の仕掛けで客人を驚かせて楽しむため…動機はどうあれ、あなたも秘密の扉を作ってみませんか?

最後にCHEのスティーヴ・ハンブル代表から『ワクワク賃貸』読者の皆さんへのメッセージをお伝えする。

【CHEのスティーヴ・ハンブル代表のメッセージ】

「CHEが提供する秘密の扉は家具として充分に機能し、美しく高級感もあります。まずはウェブサイトをご覧いただき、すぐれた技術・デザイン力を誇るわが社にぜひご相談ください」。

写真 Photographs:CHE (Creative Home Engineering)

出典(元ネタ): 『ニューヨーク・タイムズ 』(2016年10月14日)

文責:林 はる芽

*アンネ・フランクの隠れ家の秘密の扉、21クラブの秘密のワインセラーは以下のリンクで見ることができます。

〇アンネ・フランクの隠れ家(記事)

〇アンネ・フランクの隠れ家(動画)

〇21クラブの秘密のワインセラー(動画)

  • この記事を書いた人

林 はる芽

フリーランスの翻訳家・エディター 日本語・フランス語・英語、時々スペイン語・ドイツ語を翻訳。 最近のおもな訳書にフレデリック・マルテルの3著『超大国アメリカの文化力』(共監訳)(岩波書店2009)『メインストリーム』(同2012)『現地レポート 世界LGBT事情』(同2016)、Kenjiro Tamogami, et.al. Fragments & Whol (Editions L’Improviste 2013) [田母神顯二郎他『記憶と実存』(明治大学 2009)]など。

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