《 アトリエ賃貸推進プロジェクト 》Vol.001

「アトリエ賃貸(=アトリエ・工房付き賃貸住宅)」を増産するプロジェクトを始動します

投稿日:2021年3月25日 更新日:

“アトリエ賃貸”とは?

皆さま、こんにちは! ウェブマガジン「ワクワク賃貸」の編集長を務めている久保田大介です。
いつも「ワクワク賃貸」をご愛読くださり、ありがとうございます。このウェブマガジンも2018年1月にスタートし3年が経ちました。
“毎日ワクワク、楽しみながら暮らせる賃貸住宅”の情報をお届けすべく、毎週木曜日に配信を続けてきましたが、おかげさまでページビュー数も順調に増え、少しずつ手応えを感じ始めています。
この良い流れに乗じて、今月(2021年3月)から新企画「アトリエ賃貸推進プロジェクト」を開始することにいたしました。
“アトリエ賃貸”は私が勝手につくった言葉なので、はじめにその定義からお伝えします。

“アトリエ賃貸”とは、アトリエ・工房がついた賃貸住宅のこと。
多くのアトリエ・工房は床が土間、もしくは汚れに強い材質でできており、借主さんは思う存分、美術作品や家具、アクセサリーなどの創作活動に取り組むことができる。

特別なひねりもなく、“そのまんま”のネーミングなのですが、このアトリエ賃貸は探しておられる方がとても多いようで、過去「ワクワク賃貸物件集」でご紹介したアトリエ賃貸の要素を持った物件には多くの方が“空き待ち”登録をしてくださいました。
アトリエ賃貸は物件の絶対数が少ないうえに、ポータルサイトではなかなか見つけることができないので、私たちにリクエストをしてこられたのだろうと思います。

そこで「アトリエ賃貸推進プロジェクト」を起ち上げ、世に多く潜在しているだろう、アトリエ賃貸を待望している方たちに最新情報をお届けし、一方で熱いニーズがあることを不動産オーナーさんたちに伝え、アトリエ賃貸を増産していただこうと考え、この連載をスタートさせることにしました。

この趣旨に賛同くださる方は是非「お問合せ」ページから“空き待ち”登録をし、メッセージを送ってください。声が多くなればなるほど、アトリエ賃貸が増えるペースは速まっていくものと思います。

アトリエ賃貸プロデュース第1号の思い出

つづいてアトリエ賃貸の具体的な事例をご紹介したいと思います。
上の写真は、私が初めてプロデュースしたアトリエ賃貸のアトリエ・スペースで、元々は古本屋の店舗スペースでした。
話は今から5年半ほど前、2015年晩夏にさかのぼります。
ある日、不動産の物件検索をしていましたら、私が子どもの頃に通っていた古本屋が「店舗付き住宅」として売りに出されていました。
店番をしていたおばあさんのやさしいお顔や、当時、漫画『侍ジャイアンツ』(古いですね^^; )の全巻を集めるべく、ドキドキしながらお店の扉を開いた日々のことが思い出され、懐かしさで胸がいっぱいになりました。
どうやらこの物件は長いこと売れていない様子で、それもそのはず、人通りの少ない商店街の、さらに一番奥のほうにあるため、店舗として買おうという不動産投資家がいなかったのです。
このとき私は、おばあさんに頼まれてもいないのに、「どうしたらこの物件は売れるのかな?」と考え始めました。
そして、ふと「店舗としては役割を果たし終えてしまっているけれど、“趣味を何でも楽しめる多目的スペース”としてなら使いたい方がいるのではないか」とひらめいたのです。
すぐに親しい不動産オーナーに電話をし、この企画をお伝えしたら面白がってくださり、「売却価格も安いので、失敗したら僕の仕事の倉庫にでもしますよ」とGoサインを出してくださいました。
話はトントン拍子に進み、2週間後には売買契約も締結。
古本屋の名残りである本棚だけを処分して、上の写真の姿にし、入居者募集を始めたのです。

“アトリエ賃貸”第1号の入居者さんたち

この企画は見事に当たりました。入居者募集をしてすぐにお申込みをしてくださる方が現れたのです。
その方は美大出身で、卒業後は夜に工場で働きながら、趣味として美術制作を続けているという若い男性でした。
「ここなら存分に制作に取り組めます!」と喜んでくださり、即契約。
しばらくしてお部屋に寄らせていただいたら、大きな絵や彫刻がたくさんこのアトリエに置かれていました。お顔を拝見すると、とても生き生きとしておられ、この企画を始めてよかったなあとしみじみ思いました。
ところが、1年も経たないうちにご解約の連絡が来てしまいました。
非常に残念だったのですが、ご解約の理由を伺って、逆に嬉しくなりました。
「このアトリエ・スペースで制作を続けていくうちに、創作意欲がどんどん高まり抑えきれなくなったので、工場勤務を辞めてデザイン事務所に転職することにしたんです。そのデザイン事務所が遠くて、ここからだと通えなく、非常にもったいないのですが、引っ越しするほかなくなりました」
そうおっしゃられたのです。
このアトリエ賃貸との出会いがこの方の人生を変えるきっかけになったわけですね。

そして次の入居者さんもすぐに決まりました。
今度の方は、DIYで家具をつくるのを趣味としている男性で、「自分で淹れた珈琲を飲みながらDIYする時間が最高に幸せ」と言って入居を決められました。
けれど、この方も2年ほどで解約の連絡が来ました。気になって理由を伺うと
「趣味が高じて、自分でつくったテーブルと椅子を並べ、喫茶店を開くことにしました。この立地だと集客するのは厳しそうなので、駅前に引っ越します」
と言われました。またこのアトリエ賃貸がきっかけで新しい人生を歩んでいかれる方が現れたのです。
(元・古本屋だけに)漫画みたいな話ですが実話です(笑)。

そしてそのあと入居くださったのが、今の借主さんで、この方は土間の要素を活かし、水槽をたくさん並べ、大好きな爬虫類を100匹以上も飼っておられます。美術制作やDIYとは違うけれど、オーナーさんさえ許してくだされば、そういう使い方も“アリ!”。アトリエ賃貸は懐の深い賃貸住宅だなあと思います。

“アトリエ賃貸”であなたの夢を叶えてみませんか?

これを皮切りに次々と築古の店舗付き住宅をコンバージョンしたアトリエ賃貸をプロデュースしてきましたが、どの物件も入居された方たちが自分の夢を実現されておられます。
近頃では、新築マンションの部屋の半分を土間にしてみたりしましたが、そちらもすぐに成約しました。
それに気を良くして、現在はいくつか新築のアトリエ賃貸づくりに取り組んでいます。
上の平面図は、神奈川県横浜市で新築中のアトリエ賃貸の1階で、この募集情報も間もなく正式にリリースする予定です。
さらに私のもとには、首都圏のアトリエ賃貸情報が集まるようになってきて、面白い!と思った物件を「ワクワク賃貸物件集」でどんどんご紹介しています。
最近では、陶芸をしたい方をメインターゲットに据えたアトリエ賃貸も誕生しました(「ワク賃037」をご覧ください)。

アトリエ賃貸は人気が高まりつつあるコンセプト賃貸ですので、この機運を損なうことなく、全国に拡大していきたいと考えています。
「アトリエ賃貸推進プロジェクト」へのご意見・ご要望がありましたら、是非お聞かせください。皆さまからの声をお待ちしています。

文:久保田大介

  • この記事を書いた人

久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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