《 アトリエ賃貸推進プロジェクト 》Vol.019

“作る場”+“売る場”+“住む場”が揃った防音ルーム付きシェアアトリエ「ヨリドコ大正メイキン」~大阪市大正区から世界へ羽ばたくクリエイターの巣立ちを応援

投稿日:2022年6月30日 更新日:

シェアアトリエについて学ぶなら「ヨリドコ大正メイキン」を見に行かなくちゃ!

「ヨリドコ大正メイキン」のシェアアトリエ内部(入口側から)

「アトリエ賃貸推進プロジェクト」では、これまで3つのシェアアトリエ・工房を取材しました。
その記事を読んでくれたビジネスパートナーが「シェアアトリエについて学ぶなら大阪の『ヨリドコ大正メイキン』を見に行かなくちゃ!」と言いました。
またあるとき、「シェアアトリエに防音ルームがあるといいと思うんだよね」という話をしていたら、それを聞いていた人が「大阪に防音ルームがあるシェアアトリエがありますよ」と教えてくれました。「それはどこですか?」と訊ねると「『ヨリドコ大正メイキン』です」との回答。
これはもう大阪まで行かねばなるまい! そう決意をしたもののコロナ禍にお邪魔するのはためらわれ、沈静化の兆しが見え始めるのをじっと待ち続け、2022年5月26日、ようやく訪問が叶いました。 
期待に違わず収穫の多い出張となり、紹介記事もなかなかのボリュームになるので、今回は前後半に分け、前半ではまず「ヨリドコ大正メイキン」の全体像を、後半にその成り立ちや運営についてご紹介したいと思います。
「ヨリドコ大正メイキン」のことをすでにご存知だという方は、前半を飛ばして後半からお読みください(笑)。
ではさっそく全体像からご案内してまいりましょう!

「ヨリドコ大正メイキン」の成り立ちや運営についてだけ知りたい方は下記バナーをクリックしてください

 

 

ヨリドコ大正メイキンの全体像

「ヨリドコ大正メイキン」の外観(向かって右側)

大阪市大正区は大阪湾に面し、三方を尻無川、木津川、大阪港に囲まれ、古くから臨海工業地帯として発展してきた“水とものづくりの街”です。
「ヨリドコ大正メイキン」はJR・大阪メトロ「大正」駅から歩くこと15分、泉尾商店街のアーケードを右に曲がってすぐのところにあります。
築65年の長屋が2棟並び立っていますが、耐震補強しリノベーションされた右側(北側)の建物が「ヨリドコ大正メイキン」です。

「ヨリドコ大正メイキン」1Fフロア図。

「ヨリドコ大正メイキン」入り口にある「ヨリドコショップ」。

「ヨリドコ大正メイキン」は木造2階建てで、1階はショップとシェアアトリエ、2階は住居兼個室アトリエとなっています。
まずは1階からご案内。
入口部分はシェアアトリエで制作しているクリエイターさんたちの作品を販売する店「ヨリドコショップ」です。

「ヨリドコショップ」の商品(作品)。

シェアアトリエは2022年6月現在、手書きスリッポンを制作しているLACICOさん、オリジナルアパレルのLudiqueさん、ペーパーアーティストのGood momentさんという3人のクリエイターさんが利用していて、その方たちの作品を「ヨリドコショップ」で販売しています。まさに“産地直送”、できたてほやほやの商品が並んでいるというわけです。クリエイターからすると、作品購入者の生の声を聞ける場がそばにあるというのは、いい勉強になるでしょうし、刺激的でもあることでしょう。

個室ブースで制作中の作家さんたち

ショップから一歩奥に入ると、そこはものづくりの場。
「ヨリドコ大正メイキン」のシェアアトリエは10区画の個室ブースと共用のテーブル(大小あり)、防音ルーム、キッチン、トイレから成っています。

現在空いている個室ブース。

個室ブースのパーテーション。右上の赤枠は開閉ができるようになっている。

個室ブースには大きな作業デスクとチェア(※チェアは自分のものを持ち込んでもよい)、棚が備えられています。
仕切りは特に設けられていませんが、共用の大テーブルそばの区画の方は、打合せ中のお客様の目が気になる場合もあるので、パーテーションが用意されています。
このパーテーションは右上の赤い枠が開閉できるようになっていて、孤独に耐えきれなくなったときはそこを開けて外の人と会話することもできるとか(笑)。

共用テーブルは作業や打合せのために自由に活用できる。

シェアアトリエの個室ブースは左右に振り分けられていて、中央部には大小の共用テーブルが置かれています。柱は長屋式家屋を支える大事なもので、抜くことができないから、その間隔に合わせてテーブルが作られました。
個室ブースだけではスペースが足りないとき、材料や道具を広げて作業できるほか、打合せなどでも利用できます。予約は不要で料金もかかりません。

ショップとシェアアトリエの共用部はマルシェの舞台にもなる。

ショップとシェアアトリエの共用部を使って、マルシェやイベントを開催することもあります。
オーナー側で企画するものだけでなく、アトリエを利用している作家さんたちが自主的に行うこともOK。ワークショップや教室を定期的に開くことも相談に応じてもらえます(※利用料は原則無料で、参加費収入などがあるときは売上の10%を支払う仕組みになっています)。

共用キッチン。

シェアアトリエの奥にあるキッチンは、イベント開催時にも利用できるけれど、基本的には作家さんたちがランチや夜食など、自分たちが食べるものをつくっていただくために提供されているスペースです。
キッチンで絵筆などを洗うのはNGで、制作のための水場は建物の外に設けられていました。

防音ルームも無料で使える。

1階で最後にご紹介するのは防音ルームです。
こちらは壁に吸音ボードが貼られていて、作業する音の反響を抑えられますが、音を完全に遮断できるほどのレベルではありません。
防音ルームを使う人の制作ジャンルに決まりはなく、彫金や革製品をつくる方の利用が多いとか。
利用時間の定めは特になく、予約も不要。使ってもいいかどうかは銘々に空気を読んで判断してもらっているとのことです。

「ヨリドコ大正メイキン」2階のフロア図。

続いて2階の住居兼個室アトリエも駆け足でご紹介してまいりましょう。
住居兼個室アトリエは全部で5室あり、大正区長が審査員長を務めるDIYコンテストを開催し、選ばれた5組のDIYチームが、それぞれのデザインで内装を施工しました。
取材当日はちょうど201号室が空いていたので、そのお部屋をご案内します。

住居兼個室アトリエの玄関は1階にある。

玄関を開けると階段がある。

201号室の室内。

長屋式建物なので玄関は5室とも1階にあり、そこから階段を上がって部屋に入ります。
内見させてもらった201号室のコンセプトは「絵本に出てきそうなファンタジックな内装」。前の入居者さんは子ども服のパタンナーさんで、この部屋の内装デザインをたいそう気に入っておられたそうです。まさに“おあつらえむき”の部屋でしたね(笑)。

床には杉の無垢材が張られている。

床には杉の無垢材が張られていて、足触りがとても心地よい。このフローリングは全室共通です。

キッチン。

シャワートイレ。

室内洗濯機置き場。

室内は15.5畳ほどの広さで、キッチン、トイレ、洗濯機置き場が備えられています。
ガスはなくオール電化となっていて、キッチンのお湯も電気温水器を利用します。当然ガステーブルはなく、IHコンロを使用しています。

1階にあるシャワールーム。

ちなみにお風呂はなくて、2階の入居者さんたちは1階にあるシャワールームを共用しています。
シャワールームを使わず、近くの銭湯に通っている人もいるそうで、利用が重なることは少ない模様。

201号室以外のお部屋も写真とコンセプトをご紹介しておきましょう(※コンセプトは各写真のクレジットにてご確認ください)。
ひとつひとつのお部屋に個性があって、好みが分かれますね。
ちなみに、僕が一番心を惹かれた205号室(洞窟のような土壁が特徴の隠れ家的内装)で使われている土壁の土は、ビフォーの時に撤去した土壁の土を一旦水につけてふやかし、わら屑などを除去して再利用したものなのだそうです。
ペンキも低臭で安全性が高く、身体や環境に有害なホルムアルデヒド、トルエン、キシレンも含まないものを使用しておられるとか(不燃認定及びF☆☆☆☆取得済み)。
ひと部屋、ひと部屋に素敵なエピソードが隠れているようです。

「ヨリドコ大正メイキン」の成り立ち

「ヨリドコ大正メイキン」をつくった人たち。左から川幡祐子さん、小川拓史さん、細川裕之さん。

前半は「ヨリドコ大正メイキン」の全体像をお伝えしましたが、後半は「ヨリドコ大正メイキン」の成り立ちと運営スタイルについて、ご紹介します。
ここでご登場いただくのは、オルガワークス株式会社の代表取締役・小川拓史さんと専務取締役の細川裕之さん、WeCompassの代表理事・川幡祐子さんの3人です。

お三方が果たしている役割を簡単に説明すると、小川さんはオーナーさん、細川さんは小川さんのビジネスパートナー、川幡さんはリノベーション工事をしたときのコンサルタントです。

「ヨリドコ大正メイキン」がリノベーションされるまでの話は非常に面白いものなのですが、これはもう、本が1冊書けてしまうほどの質と量の物語があり、この場で紹介しきるのは到底不可能。
ですので、まずは次の動画をご覧ください。

「動画を見る時間がない!」という方のために、成り立ちについてかいつまんでお話をしますと、小川オーナーがある日突然、築65年の長屋を相続することになり、川幡さん、細川さんらの力を借りて、たくさんの方にDIYに参加してもらい、クリエイターが集まるシェアアトリエ「ヨリドコ大正メイキン」へリノベーションした、ということになります(大雑把ですみません)。
小川さんが初めてこの建物を見たときどれぐらいボロボロだったか、主要メンバーはどのように集まってきたか、工事資金はどのようにしてかき集めたか、耐震補強から内装に到るまでどのように工事を進めていったかなど、「それが一番知りたいんだよ~」という方は、下記のバナーをクリックし、オルガワークス社のサイトにある連載コラムをご覧ください。
プロジェクトの核となった漫画家・イラストレーターの神吉奈桜(かんき・なお)さんのメイキング漫画もあって、リノベーションの背景を楽しく知ることができます。

「ヨリドコ大正メイキン」の運営

「ヨリドコ大正メイキン」のBefore&After。

ここから先は「ヨリドコ大正メイキン」の運営について、小川さん、細川さん、川幡さんにお話を伺っていきます。
シェアアトリエは運営者の考え方でカラーがはっきりと分かれますが、小川さんたちは「ヨリドコ大正メイキン」を“クリエイターさんたちが次のステップを広げていく場所”、“世界を狙えるアーティストが巣立っていく場所”と定めて運営しておられ、「長居は無用です(笑)」(小川さん)と考えているところが特徴的です。
利用者さんたちが長居をしてくださらないと財政的に大変なのではないだろうか?と私などは考えてしまうのですが、小川さんたちはもっと大きな視野でこの場を捉えておられるようです。そのあたりを中心にお伝えしてまいりましょう。

「ヨリドコ大正メイキン」日常のひとコマ。

⎯⎯⎯⎯ 今日はお忙しいなか、「アトリエ賃貸推進プロジェクト」のために時間をつくってくださり、ありがとうございました。川幡さんには取材の窓口になっていただけて助かりました。

川幡:いえいえ、こんな遠くまで見学に来てくださって、こちらこそありがとうございます。

⎯⎯⎯⎯ 川幡さんは空き家活用の専門家としてこちらのプロジェクトに関わっておられますが、そもそもオルガワークスさんの小川さん、細川さんとはどこで知り合ったのですか?

川幡:「ヨリドコ大正メイキン」のリノベーションには当時大正区長だった筋原章博さん(※2022年6月時点では生野区長)が大きく関わってくれているのですが、筋原区長と私は大学の同級生で、都市計画のコンサルタントを長らくしていたこともあり、空き家再生も業務の一つであるため、オルガワークスさんと引き合わせてくれました。

⎯⎯⎯⎯ 何と、それはすごいご縁ですね!

小川:リノベーション前の写真を見ていただくと一目瞭然なのですが、本当におんぼろで、川幡さんとの出会いがなかったらどうなっていたことか(笑)。

川幡:私が代表理事を務めているWeCompassは、この話をいただく2年ほど前に設立したのですが、スタート時点でこの場所と出会えたことは私たちにとってもラッキーなことでした。

WeCompassのサポート体制

⎯⎯⎯⎯ 「ヨリドコ大正メイキン」が今の姿になってからの運営はどなたがされているのですか?

細川:小川が代表取締役、私が専務をしているオルガワークスで運営しています。

⎯⎯⎯⎯ ヨリドコショップの店番なんかもおふたりがなさっているのですか?

細川:いいえ、それはシェアアトリエにいるクリエイターさんたちがやってくれてます。

⎯⎯⎯⎯ クリエイターさんは自分の作品だけじゃなく、ほかの方の作品もお客様に説明されるんですか?

細川:まあ、わかる範囲で。わからないときは「わからない」と言っていいことになってます(笑)。

⎯⎯⎯⎯ 気楽でいいですね~(笑)。売上管理なんかもクリエイターさんたちがやっておられるんでしょうか?

細川:ヨリドコショップは場所代をいただいていなくて、作品が売れたらその10%を頂戴することにしていますが、それも自己申告です。

⎯⎯⎯⎯ あら、それはまたずいぶんとゆるやかなことで・・・(笑)。ちなみにここのお掃除はどなたが?

小川:それは僕の仕事です(笑)。

⎯⎯⎯⎯ オーナー自ら掃除をなさるんですか?!

小川:週1回ぐらい来て、トイレも含めて僕が掃除します。

⎯⎯⎯⎯ トイレットペーパーの補充なんかも?

小川:それも僕がやりますが、なくなってしまったときは入居者さんが代わりに買っておいて、あとで請求してくれることもあります。ここは商店街が近いから、ちゃちゃっと行ってくれてるみたいです(笑)。

共用テーブルで制作をしているクリエイターさん。

⎯⎯⎯⎯ しかし、共用テーブルも散らかっていなくてきれいですね。共用テーブルは予約制ではなく、無料で利用できるということですが、シェアアトリエの場合、共用スペースに自分のものを出しっぱなしにしてしまう人がいて、不平不満が多いところもあると聞きます。でも、ここは違うみたいですね。

細川:「ヨリドコ大正メイキン」はクリエイターさんたちが自立し、成功することを応援する場と定義づけています。もし散らかしっぱなしの方がいたら、その考え方に基づき「身の回りを整理できなくて成功する人は少ないよ」と前向きな忠告をして、自主的に片付けてもらうようにしています。万事その調子だから、ここにはルールというものがありません。

⎯⎯⎯⎯ えっ、ルールがないんですか?

細川:はい。定例ミーティングもないし、利用時間の制限もないです。

⎯⎯⎯⎯ それでよくこの秩序が保たれていますね。

細川:秩序やルールみたいなものは、ここを利用している人たちの中から自然に生まれてくるもので、我々の役割はそういうものが自然に生まれてくるようにすることだと考えているんです。

クリエイターさんと談笑されている小川さん。

⎯⎯⎯⎯ なるほど~。そのために、たとえばどんなことをされていますか?

細川:いろいろあるけれど、一例をあげるとすると、クリエイターさんたちとはよく話をしています。先ほど言いましたが、ここはクリエイターさんたちが自立し、成功することを応援する場だと考えていますから、その考えに基づいてビジネス相談に応じています。

⎯⎯⎯⎯ ビジネス相談と言うと?

細川:一言で言えば「世界で活躍するにはどうするか?」という相談です。それが商品づくりのヒントであったり、価格付けや売り出し方の話だったりしますが、モノの考え方の話をすることが多いかもしれませんね。

⎯⎯⎯⎯ それはいいですね。小川さんもビジネス相談に応じているのですか?

小川:ビジネス相談は細川の担当で、僕は専ら愚痴を聞く係です(笑)。

⎯⎯⎯⎯ それはとても大事です(笑)。

ビジネス相談に応じている細川さん。

⎯⎯⎯⎯ これははじめに伺うべき話だったかと思うのですが、ここを利用される方にはジャンルなどの制限があるのですか? また入居審査はされているんでしょうか?

細川:“表現者”を対象としていますが、ジャンルの制限はありません。いま“表現者”と言いましたが、“何かを表現したいと思っている”という方でもOKです。

⎯⎯⎯⎯ と言いますと?

細川:これはひとつの事例なのですが、オープンして2年目の春にひとりの大学生が訪ねてこられました。彼が言うには、国際学を学ぶうちに日本国内の林業や間伐材などについて知りたいと思うようになった。でも大学で学んでいることとは違うから、1年間休学することにしたのだが、そのうちの3ヵ月間を「ヨリドコ大正メイキン」で過ごしてみたい、とのことでした。

⎯⎯⎯⎯ ほほぉ、それでどうなりましたか?

細川:彼は木材を使った建築模型作りに没頭し始めたのですが、あまりの完成度の高さや精密さにみんな驚いてしまって、メンバー主催のマルシェなどにも展示出品し、来場客とも交流してもらいました。3ヵ月の期間の終わりごろには「間伐材の使われ方などを勉強する」と言って、九州の林業の産地に拠点を移していきました。

大学生がつくった建築模型

⎯⎯⎯⎯ それはすごいなあ。その学生さんにとっては、人生のなかで貴重な時間になったでしょうし、オルガワークスさんや他のクリエイターさんたちにとってもきっと刺激的だったと思います。
ところで、いま「ヨリドコ大正メイキン」はどれぐらい稼働していますか?

細川:シェアアトリエは10区画中3区画で、2階は5室中4室が利用されています。

⎯⎯⎯⎯ 2階はともかく、シェアアトリエはもっと利用者さんがおられてもよさそうに思うのですが・・・。

細川:コロナの影響はあるのですが、多いときでも7区画ぐらいで、満室稼働にはそんなにこだわりがないんですよ。

⎯⎯⎯⎯ 賃貸経営として考えたとき、それでいいのでしょうか?

細川:そこが面白くて、僕よりオーナーである小川のほうがこだわってないんです(笑)。

小川:(大笑)

⎯⎯⎯⎯ 確かに、利用者さんたちに「長居は無用」「ここから巣立っていってほしい」と言われているようですから、別の目論見がありそうですね。

細川:ひとつには創造的な場であり続けるために新陳代謝が必要だと考えているということがあります。ここを巣立って行かれても、外部のクリエイターとしてお付き合いはずっと続いていきますので、私たちからするとコラボレーションできたり、刺激を与えてくれたりするクリエイターが増え続けていくということになるんですよ。

⎯⎯⎯⎯ 目先の家賃収入より大事なものがあるというわけですね。

川幡:それでもやっぱり家賃収入は多いほうがありがたいとは思うので、ワクワク賃貸さんも応援してください(笑)。

⎯⎯⎯⎯ それはもちろん!(笑)

作品制作中のクリエイターさん

⎯⎯⎯⎯ 最後になりますが、「ヨリドコ大正メイキン」はどのように利用者を募集しているのですか?

細川:いやぁ、それが特に募集らしいことはしていないんです。不動産屋さんにも紹介をお願いしていないですし、そもそも空き情報も公開していません。

⎯⎯⎯⎯ はぁ・・・?

細川:ほとんどの方はマルシェやイベントに参加して、ここを気に入ってくださり、それからオルガワークスのホームページを見たりして、どうしてもここで制作したい、暮らしたいと思った方がメールなどでアプローチしてこられます。こちらはそれをじっと待ってます(笑)。

⎯⎯⎯⎯ なるほど。ご自身でいろいろと調べてから連絡してこられるので、ここがどういう場所で、オルガワークスさんが何を考え、何を求めているか理解してくださっているから、話もスムーズに進みそうですね。

細川:100%そうではないですけどね。でも、この場の空気感を気に入ってくださる方は、同じような空気感を持っておられるので、我々やほかのクリエイターさんたちと上手に付き合っていくという意味では良さそうです。

⎯⎯⎯⎯ 利用料はどういう設定になっていますか?

細川:シェアアトリエは1区画33,000円(税込)、2階の住居兼個室アトリエは1室44,000円(税込)、両方セットで利用される場合は66,000円(税込)です。利用者さんはヨリドコショップに無料で作品を置けますが、売れた場合は売上の10%(税別)を頂戴する仕組みです。[※編集部注:2022年6月時点での料金設定です]

⎯⎯⎯⎯ 保証金などは必要ですか?

細川:保証金や事務手数料は不要です。あと1階は光熱費込みとしていますが、2階は各室ごとに水道代・電気代がかかります。

⎯⎯⎯⎯ シェアアトリエは光熱費込みなんですね! 共用テーブルやキッチンも使えるから相当リーズナブルだと思います。
ワクワク賃貸でも「空き待ち」登録を受け付けさせていただいて、登録をいただいたら、その都度オルガワークスさんへご連絡するようにいたします。
最後に、これからシェアアトリエをつくろうと考えているオーナーさん、自分でシェアアトリエを運営してみたいと思っているクリエイターさんたちに一言ずついただけますか?

川幡:クリエイターの方々が自分の作品を発表しマネタイズするには、一人だけでは煮詰まることが多いと思います。仲間と情報交換をし、時には助け合いながらクリエイターとして確立していくのにシェアアトリエは最適です。ぜひ、ご検討ください。

細川:管理され、決められたルールに従う環境の下においては自由で独創的なクリエイティビティは生まれにくいと思っています。長く停滞する日本の中で、また世界に向けて活躍していけるように、自らの意思で切り拓いていきたいと意気込む方との出会いを楽しみにしています。

小川:この「ヨリドコ大正メイキン」というプロジェクトは、到底一人で実現することは不可能でした。しかし、周りの人間に一言「シェアアトリエを作りたい」と話してみてください。必ず賛同してくれる方がいらっしゃるはずです。自分も当時の大正区長から始まり、川幡さん・細川らの協力があり実現しました。細川とはこのプロジェクトがきっかけで会社を作ったほどです。想いだけでは難しいこともありますが、共感してくれる人は必ずいるはずです。まだまだ少ないシェアアトリエが日本にたくさんできるのを楽しみにしています!

⎯⎯⎯⎯ お話を伺っていて、今日は大阪まで寄せていただいて本当に良かったと思いました。“作る場”、“売る場”、“住む場”が一体となっていることの良さも肌で実感することができましたし、こういう場をつくるオーナーにとっては、目先の賃貸収入以外にも得られるものがたくさんあることを学べました。貴重なお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

[小川拓史さんのプロフィール]
小川合名会社/オルガワークス株式会社 代表取締役
20代からウェブデザイナーとして個人で活動していたが、ひょんなきっかけから実家の不動産業を引き継ぐこととなり、拠点を東京から大阪へ移す。大阪市内を中心に所有するビルや長屋は築年数を重ね、空きが出るごとに新しい利活用の仕組みを細川氏と共に開発してきた。物件管理の小川合名会社とソフト開発のオルガワークス株式会社の代表を兼任している。

[細川裕之さんのプロフィール]
オルガワークス株式会社 専務取締役
小川合名会社が所有するビルの1室を独立時に賃貸したのを機に、小川氏と共にビル再生などの取り組みを始める。2017年12月には小川氏と共にオルガワークス株式会社を設立。メンズアパレル、シェアオフィス&アトリエ、シェアキッチン、クラフトコーラ、スキンケア、地域活性など衣食住多岐にわたる分野のプロデュースを担当している。

[川幡祐子さんのプロフィール]
一般社団法人大正・港エリア空き家活用協議会(WeCompass)代表理事)
→都市計画コンサルタント、大阪市住宅供給公社を経て、2017年に現在の団体を立ち上げる。
大正区・港区を中心とした空き家再生の実施、住宅政策に関連する調査委託などを行なっている。

文:久保田大介

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久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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