《 ワクワク賃貸妄想中 》Vol.047

憧れのコウハウジング 連載第2回:ひとり暮らしの理想形

投稿日:2025年7月10日 更新日:

「ひとりで暮らすのが好き」という人が増えています

「ひとりで暮らすのが好き」という人が年々増え続けていて、ある調査によるとその割合は50%を超えているそうです。
私も数年前に離婚して以来ひとりで暮らしていて、年老いた両親は「お前がずっとひとりで暮らすのかと思うと心配だ」と言って、遠回しに再婚を勧めてきますが、今の暮らしがあまりに気楽すぎて、もう一度誰かと一緒に暮らす自分が想像できません。
たまに友人が泊まりに来ると、楽しくはあるのだけれど、すごく気を遣うし、寝る時間、食事をする時間が自分の自由にならないことに、かなりのストレスを感じます。
ひとりでいることを淋しく感じる日がないわけではありませんが、「何かを得れば何かを失う」というのは世の常なので、淋しいから誰かと暮らそうとも思えません。
しかし、病気をしたときだけは、ひとりの大変さを痛感します。
高熱を出して寝込んだときなどは、食料の調達はネットスーパーを使えば大丈夫だけれど、汗をたくさんかけば、たちまち下着が底をつき、フラフラになりながら洗濯をして、干して、ということはせざるを得ません。ベッドのシーツを換えて洗うのも大変だし、使った食器もあっという間にシンクにたまるから、洗い物を頑張らないといけない。
私は若いときからぎっくり腰がクセになっていて、いったんやってしまうとトイレに行くのも厳しく、身体を動かせないから、着替えもできません。
こんなときだけは、「誰かそばにいてくれたらなあ」と人を求めてしまうのだから、我ながら図々しいものだと思います。でも、ひとりで暮らしている人は、きっと皆同じですよね。
そんなとき、私は「ひとり暮らしの人同士が、病気や怪我をしたときだけ助け合う“互助会”みたいなものがあったらいいのになあ」と夢想します。
私は誰かが病気や怪我ををしているときに親身にお世話をします。その代わり、私が病気をしてしまったら、誰かに最低限のサポートをしてもらう。それを誰かの仏心に頼るのでなく、“仕組み”とすることができたら、ひとり暮らしを続けても不安はないなと思うのです。

看病の互助会

先日、何かのニュースで、誰かの介護をしたとき、その代償をチケットで受け取り、将来自分が介護を受ける立場になったとき、貯めたチケットを使わせてもらう、という“仕組み”をつくっている人の話を耳にしました。
昔観たドラマ『北の国から』では、富良野で暮らす人々のなかに、誰かのために力を貸したら、お金を受け取らず、何かのときに誰かの力を貸してもらう、暗黙のルールみたいなものがあるという話がありました。
こうしたことを考える人たちは、今も昔もいるのですよね。
強いニーズと先例があるから、ひとり暮らしをしている人同士の看病互助会も、きっと成立させられるのだと思います。
しかし、私はかなりワガママで、あと人見知りでもあるので、知らない人の看病をするのも、知らない人に看病されるのも、できれば避けたいのです。
そして根が不動産コンサルタントですから、家と看病互助会を組み合わせてみたい。
そこで行き着いた先がコウハウジングという暮らし方です。
同じグループに属してコウハウジングをしている仲間であれば、看病するのもイヤでないし、看病してもらっても気が楽。私はそう思うのです。

他愛もない話を聞いてもらいたい

先ほど、私はひとり暮らしをしていて淋しいときもあると言いましたが、どんなときに淋しいと感じるか考えてみましたら、どうでもいいようなことだけど、ちょっと誰かに聞いてほしい、ということがたまにあって、それを誰にも言えないときは淋しいと感じているなと思いました。
「そんなのSNSに書き込めばいいじゃん」とか言われてしまいそうですが、どうでもいいようなことを言ったということを記録に残すのは私の好みではなく、不特定多数の人に聞いてもらいたいわけでもなく、ちょっとだけ誰かに聞いてもらったらもう十分ということが言えないとき、そばに誰かがいたらなあと思います。
たとえば、このあいだ、セブンイレブンで買い物をしていて、ナナコカードで支払いをしたら、残高がピッタリ0円になったことがありました。残高がいくらあったか知らず、自分がいくら買い物をしたかもわからず、たまたま偶然0円になったのだけど、こんなことってそうそうないよね、と思ったら、誰かに言いたくてたまらなくなりました。そんな本当に他愛もないことを誰にも言えないのは、ちょっと淋しいです。
こんなときコウハウジングで暮らしていたら、すぐに誰かに話せて満足できそうだなと思いました。

つまり、私にとってのコウハウジングとは、ひとり暮らしの自由さを満喫しつつも、病気や怪我で困ったら助けてもらえ、他愛のない話をしたいときにはできて・・・という、実に都合のよい暮らし方なのです。
家族で楽しく暮らしている人には、全く共感していただけないかもしれませんが、ひとり暮らしが好きな人、ひとり暮らししか考えられない人には、頷いてもらえそうな気がします。
あとは、前回も書きましたが、コウハウジングで暮らす人たちとの物理的な距離感を、自分の理想通りに保てる仕組みもつくりたい。困ったときは助け合いたいし、他愛のない話もしてみたいけれど、べったりウェットな人間関係は、ちょっと疲れます。どうしたら、自分にとって適度な距離を保てるコウハウジングをつくれるか? 私の妄想は続いていきます。

文:久保田大介

イラスト:コミック堂

  • この記事を書いた人

久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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