《 コレクティブハウスの暮らし 》Vol.009

病気になったとき、コレクティブハウスだと安心して休める

投稿日:2021年9月23日 更新日:

皆さん、こんにちは。コレクティブ研究家の久保有美です。
私はコレクティブな暮らし方=「つながり、ともに働く、フラットな関係」という暮らし方について日々考え活動しています。

私の暮らしているコレクティブハウスには0歳児から70代までという多世代の人たちが暮らしています(2021年2月末現時点)。そんな多世代の人たちと関わりながら暮らしていると、病気になってしまったときも、一人暮らしであっても安心して過ごせます。

今回は、病気になった時にどのように過ごすのかをお伝えしたいと思います。2020年からの新型コロナウィルスの感染拡大で、ハウスでの暮らしも対応も変化してきました。コロナ対応はまた改めてまとめてお伝えしたいと思います。

コレクティブハウスで暮らし始めて4年目となっていますが、私自身、ケガをしたりインフルエンザに罹ったり、普通のひとり暮らしをしていたら不自由な暮らしの状況になるシーンもありました。

ケガや病気は突然なってしまうこともあり、備えが不十分な状態で動けないということもあると思います。特にインフルエンザになれば、外出もできませんし、食べるものに困ることもあります。病院からの帰りに買い物に行く気力もない、なんてこともありますよね。

そして、コレクティブハウスで暮らす上で一つ忘れてはならないことがあります。それはインフルエンザに罹患したことをハウス全体にメールし、当番などをしばらくお休みすることをお知らせするということです。合わせて、手洗いうがいの徹底などの注意喚起などもします。

これは大人が病気に罹ったときに限った話ではなく、子どもがいる家族からも情報共有をしてもらいます。子どもも保育園や幼稚園からいろいろともらってきてしまい、さまざまな病気に罹ります。子どもがインフルエンザになれば、親も罹患しないように気をつけて、当番やミールをお休みする、ということもあります。

シェアハウスのように、毎日使うトイレ・お風呂等の水回り設備を家族以外の複数人でシェアはしていないので、日常的な生活で感染が広まる、ということはないと想定していますが、洗濯や食事などの家事を共有することのリスクは下げなければならないと思っています。

コレクティブハウスで暮らし始めて2年目の冬、私はインフルエンザに罹患しました。会社でなんだか熱っぽいなと思い病院に行ったら38度の発熱、検査結果はインフルエンザ。即座に退社し、帰宅。冷蔵庫には前日のミールを残しておいたものが少しあるだけ…。駅からの帰り道でポカリを買ってきたが、1週間はもちません。

ハウス全体にインフルエンザ罹患のメールをすると、「何か買ってこようか?」「手伝うことがあれば言ってね」「水分補給はいつも以上にしっかりするように!」などとハウスの皆さんからメールをもらいました。それだけでもすごく嬉しいしありがたいことです。しかも差し入れをもらったり、代わりにお買い物に行っていただいたりもしました。買ってきたものはドアノブにかけておいてもらうことで、接触もしませんし、知らない人にお願いするわけではないので、安心して甘えてお願いしてしまいます。

病気やケガになったとき、一緒に暮らす家族がいればなんの遠慮もなく看病してもらい、用事を頼み、不自由さをさほど感じることはないかもしれません。しかし、一人暮らしをしていると、全て自分でやらなければならない。すぐに頼れる友人や知人が近くに暮らしているということもあまりないでしょう。

また、最悪のケースを想像してみたこともあります。体が弱っている時にはなぜか悲観的になってしまいがちで、インフルエンザで発熱して寝込んでいる今、地震が発生したら、火災が発生したら、どうしよう、逃げ遅れたらどうしよう、そんなこともふと考えてしまいました。

普通の賃貸マンションなら、隣の人が誰で、その人がインフルエンザで寝込んでいる、なんてこと知る由もありません。地震で倒壊・火災に巻き込まれたとしたら、救助されるかどうか、わからない気がします。しかし、コレクティブハウスだと、寝込んでいることを知らせていれば、きっと何かあっても声をかけてくれる、助けてくれる居住者がいるはずです。仮に逃げ遅れたとしても、誰がいないかもすぐにわかって対応できる状態ですから、最悪のケースは回避できると思っています。有事の際に人とのつながりが最も大きな防災力を発揮すると感じており、過去の災害時でも声高に「コミュニティの大切さ」を言われる理由はここにあると思っています。

コレクティブハウスや人とのつながりのある暮らしでは、一人ぼっちじゃない、誰かは助けてくれる、ということをしみじみ感じます。感謝。

2020年からの新型コロナウィルスの感染拡大防止は、コレクティブハウスにとってもさまざまな活動の大きな打撃となり、今までやってきたイベントや今までのやり方は適切ではない、ということに直面しています。しかし、コレクティブハウスではインフルエンザやノロウィルス、夏場の食中毒など、毎年さまざまな感染症に対して危機感を常に持っているといえると思います。病気に限らず、3.11のときもその当時の居住者で何が心配なのか、何が本当に必要な情報なのか、などいろいろなことが話し合われ、対策をされたと聞いています。

常に自分はどうしたいのか、自分たちはどうしたいのか、を考えて実行しているコレクティブハウスの暮らしだからこそ、有事のことが起こっても、安心して過ごすことができるのだなと感じています。

ひとり暮らしだけど、独り(孤独なひとり)ではない暮らし。それをもっとも実感するのは病気になった時。よく知っている他人が近くにいる安心感があるだけで、早く病気もよくなる気もしてきます。

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新型コロナウィルスの影響も大きいですが、この暮らしを続けていけるように居住者でいろいろと話をして、私たちなりの納得解を出すことになると思います。長い道のりかもしれませんが、必要なこととして取り組んでいきたいと思っています。

文:久保有美

  • この記事を書いた人

久保 有美

不動産フリーエージェント。京都出身(京都いうても西の方) 好きな数字:3&9 宅地建物取引士 社会福祉士 賃貸不動産経営管理士 大学でコレクティブハウスという暮らし方に出会う。京都でコレクティブをやりたいと言い続け、建築会社・不動産コンサルティング会社を経て2021年に独立。 新たな暮らし方の提案、福祉と不動産の連携を目指す。

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