《 コレクティブハウスの暮らし 》Vol.015

たくさんの大人から料理やお菓子づくりを学べるコレクティブハウスの子どもたち

投稿日:2022年3月17日 更新日:

皆さん、こんにちは。コレクティブ研究家の久保有美です。
私はコレクティブな暮らし方=「つながり、ともに働く、フラットな関係」という暮らし方について日々考えています。

先月(2月)14日はバレンタインデーでしたね。チョコレートを女性から男性に贈る習慣は日本特有のようですが、贈るにしてももらうにしても、ワクワクドキドキしていた時期が私にもありました。今は友チョコとか、女子同士でチョコを贈り合うということが多いようですね。男性だからとか女性だからという性別区分で考えられたものはもはや今の時代には合わなくなっているようにも感じます。コレクティブハウスでは性別区分はほとんど考慮せず、ジェンダーレスな世界なので、特にそう感じるのかもしれません。

しかし、私はチョコ好き・お菓子好きですので、イベントに限らずお菓子をもらえる機会というのは大変嬉しいです! 先日も、小学生の居住者のKちゃんが「お菓子を作ったよ」ということで居住者全体に声かけがありました。味見とお裾分けということだったので、少しいただいたのですが、とってもおいしかったです! 私がおいしいおいしいと食べていたら、Kちゃんは「もっと食べていいよ」と笑顔でおかわりをくれました。その笑顔がまた可愛いかったです。Kちゃんのお菓子作りは、バレンタインに渡すお友達へのクッキーの練習だったようで、とても上手にでき上がっていました。きっともらったお友達も喜んでくれたと思います。

小学生のKちゃんが一生懸命に作ってくれたお菓子は、オーブンを使って焼いたものでした。コレクティブハウスのオーブンは業務用のオーブンなので、使い勝手は家庭用のものと全く違います。ですので、私は一度も使ったことはないのです。そのオーブンを使ってクッキーやメレンゲを作れる小学生女子は私にとっては眩しい存在で尊敬します。

もちろん、小学生だけでオーブンを使うことはできないので、大人の居住者と一緒に作業をしているのですが、その大人が親ではない、ということもユニークだと思います。オーブンを使い慣れている大人の居住者が小学生と一緒にお菓子作りを楽むなんて、コレクティブハウスならではのことですよね。

子どもの頃、親や兄姉、家庭によっては祖父母から料理やお菓子作りを教わった記憶のある方は多いと思います。でも両親が共働きだったり、料理やお菓子作りに興味がない家庭で育ったりすると、そういう経験はなかなかできません。
しかしコレクティブハウスでは、両親以外の大人がたくさんいるため、そのチャンスはとても多いです。大人も子どもたちの性格などを知っている(わかっている)から教えやすいし、子どもたちも、知っている大人だから大きな緊張もなく、楽しむことができます。

コモンミール(夕食の共同化)を作るとき、子どもたちがお手伝いをする(サブに入る)こともあります。そんなときは、その子らができることを中心にやってもらいます。幼稚園生や低学年の子どもたちにはサラダを盛り付けたり、お皿を並べてもらったりということを、中・高学年の子どもたちにはもう少し本格的なお手伝いをしてもらうこともあります。
コモンミールを一緒に作る過程で、子どもたちはさまざまな発見をしているはずです。たとえば、お母さんの調理方法と違う!とか、味付けが違うとか。子どもの頃からそうした違いを知るのは良いことだと思っています。

もともと料理が好きなKちゃんのような子どももいれば、ミールの手伝いがきっかけで料理にハマるという子どももいます。暮らしの中で料理ができるということは自分にとっても大切なスキルですが、コレクティブハウスはそれを学ぶのに適した環境だなと思います。
コレクティブハウスで育った子どもたちが将来大人になったとき、たくさんの大人たちと一緒に料理を楽しんだことを懐かしく思い出すことがきっとあるでしょう。そんな豊かな記憶を持てる子どもはしあわせなんじゃないかなと思っています。

文:久保有美

  • この記事を書いた人

久保 有美

不動産フリーエージェント。京都出身(京都いうても西の方) 好きな数字:3&9 宅地建物取引士 社会福祉士 賃貸不動産経営管理士 大学でコレクティブハウスという暮らし方に出会う。京都でコレクティブをやりたいと言い続け、建築会社・不動産コンサルティング会社を経て2021年に独立。 新たな暮らし方の提案、福祉と不動産の連携を目指す。

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