《 コレクティブハウスの暮らし 》Vol.024

コレクティブハウス聖蹟の定例会がある日の過ごし方

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2020年1月から開始したこのコラムも第24回となりました。このコラムを通じて、コレクティブハウスという暮らし方を知っていただき、お問い合わせくださる方も増え、継続してきてよかったと、しみじみと思っています。

今回は、まだスポットを当てていなかった「コレクティブハウスの定例会が開催される日」について、コレクティブハウス聖蹟を例にお伝えしたいと思います。
コラムの中でこれまで述べてきましたが、コレクティブハウスはただの賃貸物件ではなく、居住者が組合員になり、管理や運営について居住者同士で決めて行く暮らし方です。
その暮らしの根幹とも言えるものが、定例会という話し合いの場と、その後に行う協働作業です。

私が暮らすコレクティブハウス聖蹟でも、居住者組合を結成し、一人ひとりが考えを持ち、対話し、物事を決めて進めていくことを大事にしています。定例会のある日は、コレクティブハウスで暮らしていることを一番実感する日にもなります。

定例会は朝9時から始まります。
コロナ禍では各自自宅からのZOOMを繋いでの参加でしたが、ここ数ヵ月はコモンルームに集まって顔を見ながら話し合えるようになりました。

居住者が集まるとなると、コモンルームのテーブルや椅子を変更しなければならないので、10分前から役員を中心に準備を始めます。
居住者組合の定例会は仕事ではないですが、意思決定をする大事な議論の場です。準備は会社等での会議と似ていて、議事録用のパソコン、板書としてプロジェクターを用意したり、会議資料を配布したりします。

忘れてはいけないのは、話し合いをするなかで決議を取る(意思決定をする)時や今の気持ちを表現するために使う「色カード」です。

現在利用している2代目色カード(左)と初代色カード

コレクティブハウス聖蹟では多数決で決めることはありません。個人の考えをきちんと把握できるようにと考え、取り入れられたのがこのカードです。

現在使用しているカードは2代目(写真左)で、初代はニュージーランドの「アースソング」というコウハウジングで開発されたカードから学び居住者が作ったものです。
2代目カードは、コレクティブハウスと同じように対話的な不動産事業をしている「まち暮らし不動産」(株式会社エヌキューテンゴ)で開発された物を利用させてもらっています。

カードの世代交代も居住者から提案で決められたそうで、このカードを利用していくこともコレクティブハウス聖蹟を象徴するものだと思います。

定例会は毎月居住者が順番に進行役となり、話し合いを進めていきます。
何を話し合うかは、あらかじめ居住者全員から議題を募集し、定例会の準備や運営を円滑に行うための役割でもある役員が準備を進めます。
私は今年度(2022年度)役員(副代表)だったので、定例会の前の週には準備会に参加し、定例会をどのように進めていくのかを他の役員である居住者たちと話をしてきました。

コレクティブハウス聖蹟で話し合いがされる議題は実に様々で、今コレクティブハウスで課題になっていること、楽しいイベントのことなどを取り上げています。話し合い・対話なので、何かを絶対に決めなければならないというものばかりではありません。〇〇についてみんなの意見を聞きたい、その上でグループとして話し合いを細かくしていきたい、という議題もあるし、この場で必ず承認まで欲しい!という議題もあります。

また、議題だけではなく、近況報告やコレクティブハウスで暮らしている中で気になっていることなども話す時間もとっています。気になっていることを話しているうちに議題として取り上げた方がいいとなるものもあり、それをその場で解決することもあります。

定例会は午前中に終わるようになんとか短くする工夫をしますが、長引くこともあり、定例会が終わると疲労感いっぱい、という状況もしばしば。
でもコレクティブハウス聖蹟の定例会の1日はまだまだ終わりません!

この後、コモンルームの掃除を全員で行います。
ここでは毎週の当番ではやりきれない掃除をします。テーブルを外に出して、椅子を廊下に出して、床を拭き、キッチンの冷蔵庫の中身を出して冷蔵庫を掃除し、ロフトの畳を上げて掃除機をかけ、・・・と、大勢でやればすぐに終わる掃除を一気にやってしまいます。こうしてコレクティブハウス内は維持管理されています。

お昼休憩をしてから、今度は「みどりの活動」です。地上と屋上の作業、どちらかになることも多いですが、人数が多ければ二手に分かれてやったり、別の日に再度作業日を設けたり、状況に応じて活動をしています。約2時間作業をします。

季節によっては、木の実の収穫という楽しいイベントもありますが、基本的には草刈りや剪定といった木々のお手入れが多いです。私はこのみどりの活動で、季節の移ろいを強く感じます。外での活動ということもあり、他の居住者さんと話をすることも気をつけています。

コロナ禍で人と会う機会が減った期間は約2年。それはコレクティブハウスにおいても同様で、定例会がオンラインになって対話が難しくなり、コモンミールで顔を合わせ他愛もない日常会話をすることもなくなりました。コモンルームを使う機会が減るにつれ、偶然に会う機会も必然的に減っていきました。ですので、みどりの活動は外で居住者とコミュニケーションを取れる場でもあったのです。

こうして定例会のある日は朝から話し合いをして、掃除やみどりの活動をしている日になります。こうしたコレクティブハウスの暮らしがぎゅっと凝縮した日が月に1回あり、コレクティブという考えを一番実感する日になります。

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コレクティブハウスの暮らしをお届けしてきた当コラムですが、来年(2023年)からは不定期の更新となります。 私自身、コレクティブハウスという住まい方だけでなく、いろいろなコレクティブという考えを持った暮らし方を模索してみようと思っています。 この2年間、コレクティブハウスの暮らしを文章にしてきたことで、私自身も何を大切にして暮らしを継続していきたいのか考える時間になりました。 これからも暮らし方や働き方は様々に変化していくことになると思いますが、このコレクティブという考え方はずっと大切にしていきたいと思いますので、不定期ですが引き続きコラムをチェックしていただけますと幸いです。どうぞよろしくお願いします。

文:久保有美

  • この記事を書いた人

久保 有美

不動産フリーエージェント。京都出身(京都いうても西の方) 好きな数字:3&9 宅地建物取引士 社会福祉士 賃貸不動産経営管理士 大学でコレクティブハウスという暮らし方に出会う。京都でコレクティブをやりたいと言い続け、建築会社・不動産コンサルティング会社を経て2021年に独立。 新たな暮らし方の提案、福祉と不動産の連携を目指す。

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