《 菓子工房賃貸推進プロジェクト 》Vol.021

空き家の所有者さんと菓子工房を持ちたい方をマッチング!~東京都豊島区にある空き家・「弥生荘」を菓子工房にしたい方、募集中

投稿日:2024年5月30日 更新日:

使われていない空き家を菓子工房に

「弥生荘」の外観

「ワクワク賃貸」で菓子工房に空き待ち登録をしてくださっている方は、2024年5月25日時点で176名いらっしゃいます。
「菓子工房賃貸推進プロジェクト」では、菓子工房の仲介ではなく、菓子工房を増やしていくことを目的に活動をしていますが、ご所有の賃貸物件を菓子工房にしたい(してもよい)という不動産オーナーに出会うことがなかなかできないでいます。
こんなにたくさんの方が空き待ちをしてくださっているのに、期待させるだけ期待させておいて、たいしたことができない自分をふがいなく思っていましたら、「少し視野を広げ、使われていない空き家の所有者さんたちにお声がけしてはどうでしょう?」という提案をいただきました。
提案してくれたのは「DIY賃貸推進プロジェクト」Vol.011で「賃貸住宅で菓子製造業許可! DIYで住まい+αの夢を実現」という記事を書かれたハウスメイトマネジメントの伊部尚子さんで、伊部さんは講師として呼ばれている空き家対策セミナーで、相続等で受け継いだままになっている空き家の所有者さんたちに「アトリエや菓子工房として活用したい方へご提供くださいませんか」とお話ししてみたいと連絡をくださいました。
しかし、ただそう呼びかけるだけで、前向きに検討してくださる方が現れるとは思えなかったので、伊部さんと一緒にアイディアを練り、それもふまえてセミナーで話をしてもらったところ、すぐに1人の不動産所有者さんが連絡をしてきてくださいました。

ご所有の空き家はJR山手線「池袋」駅から徒歩16分、東武東上線「北池袋」駅からは徒歩9分という好立地にある、専有面積50.41㎡の物件です。
この物件を今回は月額6万円という破格の金額でご提供いただけることになりました。

さっそくご紹介したいと思いますが、はじめに、室内写真はまだ荷物がたくさん残されている状態で撮影していることをお断りいたします。
借りたい方が現れ、賃貸借契約を締結したら、ご入居日までに所有者さん側で荷物は撤去いたします(冷蔵庫など、ご利用になりたいものがあれば差し上げます)。

「弥生荘」のご紹介

「弥生荘」1階の間取図

今回ご紹介する空き家は、奥様のお祖父様が学生用の貸し間として建てた家で、当時は「弥生荘」という名称でした。
それにちなみ、このあとは「弥生荘」という名前で紹介を続けさせてもらいます。
「弥生荘」はその後1階のみ所有者夫妻が住むため改修工事を行なわれ、2階は貸し間仕様のままとなっています。
所有者さんが2年前まで暮らしておられ、今でもたまに出入りされているので、この種の空き家の中では室内の状態はとても良いです。
今回、菓子工房にしたい方に提供くださるのは、この1階部分です。
はじめにお伝えしておきますが、「弥生荘」は荷物こそ撤去していただけますが、リフォームはハウスクリーニングのみとなります。
その代わり、菓子工房にするなど、借りる側はかなり希望通りに手を加えることができますし、原状回復工事も原則不要です。
所有者さん側の手間や費用負担を最小限にすることで、使われていない空き家をご提供いただけることになったので、この点はよく理解してください。

「弥生荘」のダイニングキッチンと、そこに連なる和室。このスペースを菓子工房とするプランを考えた。

さて、1階を菓子工房にコンバージョンするにあたり、私のほうでプランを考え、豊島区の保健所に相談に行ってまいりました。
私のプランはダイニングキッチンと、そこに連なる和室を菓子工房にするというものです。
このスペースを菓子工房にするためには、まず洗面台が必要となります。これは現在、冷蔵庫が置いてあるスペースに増設するのが工事のしやすさやコストの面で最適だと思います。

「弥生荘」1階のキッチン。

キッチンは2年前まで所有者さんがご使用になられていたので、十分使えますが、水栓をレバーハンドルにしなければなりません。
またお湯は古いタイプのガス給湯器で沸かしますが、こちらも水の水栓と合体させてレシングルレバーにする必要がありそうです(この点は保健所にまだ確認していません)。
キッチンの見た目を良くしたい場合は、ダイノックシートを貼るとよいでしょう。
ダイニングキッチンに置かれている冷蔵庫、ガステーブル、食器棚などは、ご希望があればそのままご利用いただけますし、不要の場合は所有者さんが処分してくださいます。

和室とダイニングキッチンはつなげて使えば10.5畳大の広さになる

ダイニングキッチンは6畳大なので、4.5畳の和室とつなげると菓子工房は10.5畳大の広さになります。これだけの広さがあれば、お菓子をつくるのも梱包するのもかなり楽だと思いますし、お菓子教室を開くこともできると思います。
ただし、この和室も菓子工房とするためには畳の上にクッションフロアやフロアタイルなど、汚れてもさっと拭き取れる材質の床材を敷く必要があります。

玄関も広々としている。

「弥生荘」の1階は玄関が広々としていて、贅沢な感じ。
大きなシューズボックスもあるので、お菓子教室を開催するときは生徒さんの靴をたくさん収納しておけます。

シャワートイレ

トイレ用の手洗い

トイレは廊下に面してあります。
保健所で確認をしましたが、菓子工房と廊下は建具でしっかり仕切られているため、前室を設ける必要はないとのことです。
トイレ使用後の手洗いには、トイレの横にある洗面台が使えるので、それで対応できます。
しかし洗面台の水栓はレバーハンドル式に変える必要があります。

1階にはほかにもう2部屋ある。

1階にある2つの部屋は押し入れを抜いて1部屋にすることも可能。

「弥生荘」の1階には、ほかに和室が2部屋あります。
菓子工房はスペースの狭さに悩むことが多いので、この点はとてもありがたいですね。
私は1室を材料や道具のストックヤードとして、もう1室をワークスペースや休憩室にしたらどうだろう?と思いました。
畳の古さが気になる場合は表替えをしたり、上からクッションフロアやカーペットなどを敷いたりするとよいでしょう。
また2つの部屋は押し入れを抜いて1部屋にすることも可能です。広くすれば、さらに使い勝手が向上すると思います。

「弥生荘」2階の間取図。

ところで、「弥生荘」には2階にも貸し間がありまして、もし「職住近接」、すなわち菓子工房のすぐ近くに住みたいというご希望がありましたら、201号室部分を月額4万円で貸していただけるそうです。
ご参考までに201号室もご紹介しておきます。
お住まいくださる場合は、室内に残されている荷物は所有者さんのほうで撤去してくださいます。

2階へ上がる外階段。

2階はもともと独立した貸し間だったので、1階とは玄関が別になっていて、外階段から上がります。

201号室のキッチン。

201号室には水回りとして、キッチン、トイレ、シャワーブースがあります。

201号室には和室が2間ある。こちらは6畳の部屋。

3畳の部屋には押し入れもついている。

お部屋は6畳と3畳の和室が2室あります。
6畳はリビング的に、3畳は寝室にすると良さそうです。
2階のお部屋もDIYはOKですので、畳の上にクッションフロア等を貼ることができます。

201号室のシャワーブース。

このお部屋には浴室がありませんが、シャワーブースはあるので、ひとり暮らしの方ならば大丈夫だという方もいるのでは?と期待しています。 ファミリーだとちょっときついかもしれませんね。

菓子工房にする際に予想される工事代金

「弥生荘」の外観。

「弥生荘」の1階を菓子工房にする場合に、必要となる工事項目と予想される工事代金もお伝えしておきます。
以下は私の経験に基づく概算なので、あくまでも目安として受け止めてください。

[菓子工房にするために必要な工事項目と予想される工事費用]

❶キッチン横に洗面台設置(30万円程度)
❷キッチン水栓をお湯と水が出るシングルレバーに変更(20万円程度)
❸ダイニングキッチンに連なる和室の床にクッションフロアを上張りする(10万円程度)
❹廊下に面した洗面台の水栓をレバーハンドル式に変更する(5万円程度)

主な項目は上記の通りで、ざっと70万円程度(税別)が必要となりそうです。
なお、工事会社さんを自分で見つけることができないという方がおられましたら、我々のほうでご紹介します(ご紹介料を請求することはありませんので、ご安心ください)。

「弥生荘」のロケーション

「弥生荘」は「池袋」駅まで歩いて16分という立地にあります。最寄り駅は東武東上線「北池袋」駅で、徒歩9分で行けます。
建物前に自転車を停めておけるスペースがあるので、自転車を利用すると「池袋」駅までは4分、「北池袋」駅までは3分で着きます。
「2階で暮らしたいけれど、シャワーブースしかないのがネック」だという方は、歩いて6分のところにある「稲荷湯」を利用するといいでしょう。
ちなみに池袋保健所までも自転車なら6分で行けるので、営業許可申請のときは楽ですね。
食材は業務スーパー(徒歩4分)に行けば一通り揃えられると思いますし、「池袋」駅が近いですから、買い物の便は非常に良いです。

「弥生荘」を借りる場合の留意点

「弥生荘」1階のダイニングキッチンと和室。

次に、「弥生荘」を借りていただく場合の留意点についてご案内いたします。
まず、賃貸借期間は5年とし、定期借家契約を結ばせていただきます。
将来は取り壊して、土地として売却することを検討しているためですが、5年後もまだ売却の予定がなければ、短い期間(1年単位)で再契約を行います。
また、リフォームはハウスクリーニングのみであることを先にお伝えしました。
ご入居いただいてから、万一雨漏りなどが発生した場合も、修繕は原則として行わず、代わりに賃料を下げていただきます。
5年程度で契約が終了となる可能性があるのでは、いくら立地や広さの条件が良くても、菓子工房にするための70万円は出せないという方がたくさんおられるのではないかと思います。
そこで今回は半年(6ヵ月)程度の期間をフリーレントとしていただくことにしました。
仮に賃料が6万円だとすると、6万円✕6ヵ月=36万円の賃料がかからなくなるので、その分を工事代に充てていただくという考えです。
もし2階(201号室)も借りてくださる場合は、そちらも半年間フリーレントにしていただくことを交渉したいと思います。
そうすれば(6万円+4万円)✕6ヵ月=60万円の賃料がフリーになるので、工事代の負担をさらに減らせることができそうです。
借りていただく際の初期費用はほかに敷金、礼金、仲介手数料、損害保険料、鍵交換費用など、合計で賃料の4ヵ月分程度がかかります(詳細は未定です)。

まずはご内見ください

「弥生荘」の外観。

今回のプランは我々にとっても初めての試みなので、まだ気づいていない課題があるかもしれません。これまでの経験を活かし、知恵を出し合って、解決していきたいと思っていますが、自前の菓子工房を得るために、私たちと一緒にチャレンジしてみようと思ってくださいましたら、「空き待ち」登録のページを利用してご連絡ください。
メッセージ欄に“「弥生荘」内見希望”と書いて送っていただけたら、スケジュール調整をし、私か伊部さんがご案内さしあげたいと思います。
また質問等があれば、同じくメッセージ欄を使って何なりとお訊ねください。

豊島区役所の住宅課の方にお聞きしたところ、こういう状態の空き家の相談はときどきあるとのことで、私たちが知らないだけで、街にはお宝物件が空き家となって眠っているのだと思います。
空き家を菓子工房にする成功事例を積み重ねていければ、行政の相談窓口の方や空き家所有者の方の目に留まる機会も増え、豊島区以外にもこの輪は広がっていくはず!
そう期待していますので、我々と一緒に菓子工房づくりの新しい扉を開こうと考えてくださる方と出会えたら嬉しい限りです。

文:久保田大介

  • この記事を書いた人

久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

-菓子工房賃貸推進プロジェクト

© 2024 楽しいコンセプトのある賃貸住宅を紹介するウェブマガジン|ワクワク賃貸®︎