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《 DIY賃貸推進プロジェクト 》

賃貸でDIYをするために、大家さん・管理会社の心理を知ろう!<前編>

投稿日:2019年9月26日 更新日:

DIY可能な物件が見つからないなら、どうする?

皆様こんにちは!DIY賃貸推進プロジェクト、特派員の伊部尚子と申します。
賃貸住宅の管理会社に長年勤務しており、住まい手がDIYできる賃貸住宅を増やす取り組みをしています。
今日は、「賃貸住宅でDIYしたいけれど、DIY可能な物件がなかなか見つからない」という、DIY好きな皆様のお悩みを解決する方法を一緒に考えていきたいと思います。

DIY可能な物件が少ないのには、理由があった!

入居者ニーズの高まりに後押しされて、DIY可能な物件を探すことのできるサイトも少しずつ増えてきましたが、その掲載数はまだ多くはありません。
それはなぜかというと、「賃貸住宅の入居者に自由にDIYされたら困る」と考えている大家さんや管理会社が多いからです。
なぜ困るのでしょうか? 大家さんや管理会社の立場になって考えてみるとわかります。
大家さんは、「入居者に自由にDIYして良いなんて言ったら、お部屋をめちゃくちゃにされてしまうのではないか?」と心配しています。自分の大切な財産である賃貸アパートやマンションの価値が下がったり、次に貸すときに困るのが嫌なのです。
管理会社が考えることはもう少し複雑で、「物件が古くなってきて、大家さんから空室対策を提案してと言われているけど、DIY可能にすれば入居者が決まるのかな? でも、入居者が決まっても、退去時にお部屋が大変なことになっていたらどうしよう…責任取れないし、やっぱりやめておこう」といった感じでしょうか。
大家さんや管理会社が心配し過ぎなのかというとそうでもなくて、私が仕事で実際に遭遇した退去後のお部屋の例では、壁とキッチンの扉に真っ黒なビニールテープが隙間なく貼ってあったことや、木目が美しかったはずの和室の柱が水色のペンキで塗りつぶされていたことがありました。どちらも大家さんや管理会社に無断で行われたDIYでしたが、真っ黒テープはべたついた粘着跡を取り除くのに苦労しましたし、水色柱は原状回復できないため、入居者さんに弁償してもらうにも金額が算出できず、結局大家さんが泣き寝入りすることになりました。DIY出来る賃貸住宅を増やしたり、既に住んでいる賃貸住宅で大家さんにDIYを許可してもらうためには、DIYされることに不安を抱える大家さんや管理会社を安心させることが不可欠なのです。

DIYで壁にペンキを塗っているところ。 床にペンキが垂れて大家さんに迷惑がかからないように養生必須です!

賃貸借契約書にDIYしたい場合のルールが書いてあるってホント?

DIY可能な物件が見つからないならば、次の一手としては、やりたいDIYを大家さんに交渉するという方法が考えられます。「そんなこと交渉しても無理でしょ?」という声が聞こえてきそうです。でも実は、賃貸住宅に入居者が手を加えるというのは、最近出てきた新しい考え方ではないのです。私は賃貸住宅に関わる仕事を20年以上してきていますが、新入社員の頃は、入居者さんが退去した後に長押(なげし)に釘が刺さっていたり、キッチンに布巾かけが取り付けてあったり、水栓金具が違うものに交換されていたりする様子をよく見かけていました。そして当時は、それにペナルティを課すこともなく、実際に原状回復することもなく、次の人にそのまま貸していたのです。そういう歴史を考えると、DIY可能賃貸は古くて新しい賃貸の形とも言えます。
では、いつから「賃貸住宅には手を入れたらダメ」という、ある種都市伝説的な(?)ルールが定着したのでしょうか。これは、原状回復の歴史と大きく関係があります。時代とともに退去時の敷金トラブルが増えてしまい、それを防止するために国土交通省が「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を制定したのが1998年のこと。そこから2回の改訂を経て広く浸透し、「賃貸住宅には原状回復義務があるので手を加えてはいけないし、もしやってしまったら退去時にお金がかかる」という概念が一般化したのです。
そして実はこの概念、後半部分は合っていますが、前半部分は少し間違っています。多くの賃貸借契約書には、「手を加えてはいけない」とは書いていないのです。
国土交通省が公表している「賃貸住宅標準契約書」(改訂版) の条文を見てみましょう。第 8 条2に「 乙は、甲の書面による承諾を得ることなく、本物件の…(途中省略)…改造若しくは模様替え…を行ってはならない。」と記載があります。多くの賃貸借契約書には、これと同内容の条文が入っているはずです。つまり、承諾してもらえるかどうかは別としても、大家さんに「DIYしてもいいですか?」と聞くことは、賃貸借契約上おかしいことではないのです。ということは、DIY可能と記載がない物件でも、DIYできるチャンスがあるかもしれません!!

賃貸住宅でDIYしたい人は、まずは賃貸借契約書をしっかり読むことが大切です。

どうすれば大家さんにDIYを許してもらえるか?

以前入居者さんから「古い洗面台をシャンプードレッサー付きのものに交換したいので、半額負担するから許可して欲しい」と言われたことがありますが、大家さんに相談したら快諾して下さいました。このエピソードには、入居者さんが賃貸住宅に手を加える行為を大家さんに承諾してもらうためのヒントが詰まっていると思っています。
この時に私が大家さんと相談した内容から、大家さんがなぜ快諾してくれたのかを考えてみましょう。
一点目は、物件価値について。もともと古い洗面台が付いていたのがシャンプードレッサー付きの新品に代わるので、価値は上がると判断しました。交換したい洗面台のメーカーと型番も教えてもらったのですが、普段私たちがリフォームで使用しているものと同じような製品で、もしこの入居者さんが退去しても次の募集時に困ることはなく、むしろプラスになると判断しました。
二点目は、施工の安心感について。入居者さんがプロの職人さんを手配して施工するとおっしゃっていたので、大家さんも私たち管理会社も安心できました。水回りは不具合が出ると階下への被害が大変なことになってしまうので、プロの施工が必須です。
三点目は、費用面について。洗面台が古くなって壊れてしまったなら全額大家さん負担ですが、今回は入居者さんの希望で交換するので、半額を入居者さんが持つとのこと。元の洗面台は古く、今の入居者さんが退去されたら次の入居募集時には交換だと思われます。半額負担で新品に交換できるならいい話です。

この入居者さんは、2ハンドル混合水栓が使いにくいから交換したい、 でも壊れていないので、半額自己負担なら大家さんがOKしてくれると思ったそうです。

大家さんの前に突破すべき、管理会社の壁

私が大家さんとお話ししたのはここまでですが、管理会社の私はさらに考えたことがありました。皆さんが交渉するかもしれない賃貸物件には管理会社がいることが多いと思うので、管理会社の気持ちも大切です。 四点目に管理会社の私が考えたのは、メンテナンスの問題です。洗面台は金額もそれなりに高額で、一度交換したらかなりの年数の使用に耐える設備ですので、水漏れなどの時にパッキンや配管パーツを交換しながら維持管理していくものです。特殊なものでパーツが手に入りにくく修理が大変だった場合、管理会社も大変ですし、大家さんに余計な費用が掛かったり、次の入居者さんに迷惑が掛かったりするかもしれません。この時は大手メーカーさんのものだったので、問題なしと判断しました。
そして最後、私が五点目に考えたのが、これを承諾すればお部屋を大切にしながら長く住んでくれるだろう、ということです。洗面台を半額自己負担してまで交換したいというのは、そもそもこのお部屋に長く住むつもりだからこその発想でしょうし、こだわりの洗面台があるということからも、暮らしに関心のある入居者さんであることがわかります。私たち管理会社がぜひ長くお付き合いしたい種類のお客様だと思ったのです。

管理会社にはたくさんの相談事が持ち込まれます。 大家さんには「管理会社のあなたたちが大丈夫ならいいよ」と言われることも多いです。

広い意味でのDIYとは、工事施工者や費用負担者を問わない

DIYとは入居者自身が行うものと考えられがちですが、国土交通省が公表している「DIY型賃貸借」
で定められているDIYの定義は、
借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件のことを指します。
借主自ら改修する場合や専門業者に発注する場合など、工事の実施方法は様々です。
工事費用については、借主や貸主が負担するだけでなく、改修規模や内容によっては、転貸人(サブリース業者など)やDIY型賃貸借を支援する第三者等が負担する場合もあります。
となっていますので、このエピソードも立派なDIYであり、この延長線上に入居者が自由に行うDIYの世界が広がっているのだと思っています。

さて、次回の後編では、管理会社の気持ちにもっと迫り、どうすればDIYを許可してもらいやすくなるかの核心に迫っていきたいと思いますので、どうぞお楽しみに!

文:伊部尚子

 

  • この記事を書いた人

伊部 尚子

独立系の賃貸管理会社ハウスメイトパートナーズに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。好きな工具はBOSCHのコードレス電動ドライバー。DIYアドバイザー、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、CFP®

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