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《 DIY賃貸推進プロジェクト 》

賃貸でDIYをするために、大家さん・管理会社の心理を知ろう!(後編)

投稿日:2019年10月24日 更新日:

どんなDIY申請なら管理会社がOKしたくなるのか?

皆様こんにちは!DIY賃貸推進プロジェクト、特派員の伊部尚子と申します。
賃貸住宅の管理会社に長年勤務しており、住まい手がDIYできる賃貸住宅を増やす取り組みをしています。
前編ではどうすれば大家さんにDIYを承諾してもらえるかを考えましたが、後編では大家さんの前に突破すべき存在、管理会社の気持ちに迫りたいと思います。

DIY申請が上手くいったケースの管理会社の思考プロセス

大家さんが自主管理している物件ではなく管理会社が入っている物件では、入居者さんが大家さんに相談したいことがあっても管理会社を通すことになります。賃貸住宅でのDIYを許可してもらうためにも、大家さんだけでなく、まずは管理会社を攻略するつもりで臨まなければなりません。心ある管理会社が「このDIYは大家さんのためにもなるし、自分たち管理会社のためもなる」と信じられるように提案することが大切です。
前編でお話しした、入居者さんから「半額負担するので古い洗面台を新品に変えたい」という交渉が上手くいったケースについて、大家さんや管理会社が承諾した理由をおさらいしてみましょう。

  1. 洗面台が新品になると物件価値が上がるので、OK.
  2. 施工をプロの業者が行うとのことで、安心。
  3. 新品の洗面台が半分の費用負担で交換できるので、大家さんにとっていい話。
  4. 大手メーカーの洗面台なので、今後のメンテナンスも問題なし。
  5. これを承諾すれば長く大切に住んでくれそう!

という流れでしたね。
では、この洗面台の流れを参考にして、これを読んでいる皆さんが大家さんや管理会社に対し「洗濯機置き場に棚を付けたい、そしてその棚を退去時に原状回復せずそのまま残したい」と交渉するケースを考えてみたいと思います。

大家さんの前に立ちはだかる管理会社の壁! 賃貸住宅でDIYをしたい場合、まずは管理会社を攻略する必要があるのです。

物件価値を上げるにはセンスの良さも必要

①については、洗濯機置き場に棚が付くことによって物件価値が上がること(少なくとも下がらないこと)を分かってもらう必要があります。つまり、次の入居者さんの募集の時にプラスになりますよ!(もしくはマイナスにはなりませんよ!)ということを示すのです。
洗濯機置き場の上にはスペースが空いていることが多く、確かにそこに棚があれば、暮らしている人は便利だと思います。そして、次の入居者募集の時にもプラスになりそうです。
しかし、もしお部屋の雰囲気に合わない棚が付いてしまったとしたらどうでしょうか?それは逆に物件価値を損なうことになるかもしれません。この問題を解決するには、お部屋の雰囲気に合う棚を設置するので心配いらないということを伝える必要があります。たとえば「棚板は場所のサイズに合わせて奥行きこのくらい、横幅このくらいのサイズにします。手書きですが設置イメージの図と、取り付け箇所の写真を添付します。棚板はホームセンターでパイン集成材を購入し、指定のサイズに切断してもらい、周辺の色となじむように白いペンキで塗装します。棚受け金具は添付の写真の商品を使用します」という伝え方だと、「この入居者さんは内装への配慮もあるしセンスも良さそうだから、任せても変な風にDIYされないだろう」と管理会社も安心できるのです。

最近のハウスメーカーの新築賃貸住宅にも、洗濯機置き場に棚が付いています。 みんなが欲しいものは、承諾してもらいやすいはず!

非常に大切な、「施工の安心感」

②の施工については、大切な物件に変なことをしません、ちゃんと施工できます、というDIYの技術力を示す必要があります。DIYと聞いて管理会社が一番心配するのは、「変な施工をされたら困る」ということだからです。洗濯機置き場に棚を付ける場合に施工に問題が起きるとしたら、取り付け方が悪くてグラグラしてしまう、外れて落ちてしまう、棚板が割れるなどが考えられます。
承諾してもらうためには、プロの職人さんが棚を取り付ける作業と同じように適切な取り付け方をすることを示すことが大切だと思います。たとえば棚を付けたい場所の壁が石膏ボードの場合、壁裏の下地をセンサー等で探すことができる、取り付けたい場所に下地がない場所は、設置場所の状態や用途に合わせたボードアンカーをホームセンターで選ぶことができる、適切に取り付けることができる、というのが必要とされるスキルです。インターネットで「棚 DIY 施工方法」などと検察すれば、詳しく解説しているサイトも動画もたくさん出てきますので参考にして下さい。
厳しいようですが、施工の正しいやり方も分かっていない人に「DIYしたい」と言われて、承諾してくれる管理会社はいないと思います。材料の選び方や施工方法をしっかり学んでから管理会社に相談しましょう。もしご自分にそこまでのDIYスキルがない場合は、施工だけプロに頼む方法も検討して下さい。

壁の裏の下地を探すセンサーは、ホームセンターで売っています。

DIYした部分に不具合が出たらどうする?

③の費用面は、ここで想定するようなDIYは基本的に入居者さん負担だと思いますので、それを相手に伝えます。高額なものの交換や設置がしたい場合、物件価値が上がり次の募集にも有利になるならば、前編の洗面台の例のように大家さんに多少負担してもらえるか交渉してみるのも良いでしょう。

④のメンテナンスについては、DIYした部分に不具合が出たらどうするのかを考えて、それを伝えておく必要があると思います。DIYした部分に施工上の問題が起きたら、入居中はDIYした本人がご自分で修理すると思うので問題になりませんが、管理会社が心配なのは退去時です。DIYした部分に不具合が出て、次の人にそのまま貸せない状態になっていた場合どうするのかを、ちゃんと考えてくれている入居者さんだと安心できます。
取り付けた棚に施工上の問題が起きて、入居者さんのDIY技術では修理できない場合、次の人に貸すのに支障がないよう棚を職人さんに取り付け直してもらうか、棚自体を撤去して壁の穴を補修する作業が必要になると思われます。その費用がさほど高額でなければ、退去後のリフォームの時に一緒に修理して、その費用は大家さんが負担してくれるかもしれません。しかし、入居者さん負担になってしまうケースも出てくる可能性があります。自分の所有物ではないものにDIYをするのであれば、そういうリスクも想定しておかなければなりません。もちろんそうならないようにしっかり施工して欲しいのですが、万一の時にかかる原状回復費用についておよその額を調べておけば、より安心してDIYできると思います。

穴を開ける部分の壁紙をコの字に切り、めくって穴あけすると原状回復が楽! インターネットはDIY施工を原状回復する裏技の宝庫です。

大切に住んでもらうのが一番嬉しい

⑤は、判断に迷う管理会社の心を動かす大切なポイントです。管理会社は、室内をきれいに大切に使って、長く住んでくれる人が大好きです。それは、その反対のケースでいつも悩まされているからで、程度の差こそあれ、短期間しか住まなかったのに退去後の室内がカビや埃で汚れてひどい状態ということは珍しくありません。そういう日々の経験から、管理会社は「お部屋をきれいに使ってくれる人に貸したい」と切実に思っています。
でも、これを読んでいる皆さんは、「そんなにお部屋を汚す人がいるなんて信じられない!」と思いませんでしたか?皆さんのようにお部屋をきれいに使っている人は、汚す人のことが理解できないのも無理はありませんよね。なぜ皆さんのお部屋がきれいなことが私に分かるのかって?それは、住まいを自分好みにDIYしたいという要望を持つ人は、住空間だけでなく暮らしそのものにも関心がある人に違いないからです!皆さんは、お部屋をきれいに使い、気に入れば長く住んでくれる、管理会社が出会いたいタイプの入居者さんだと思うのです。
長年お部屋を汚す入居者さんに悩まされてきた管理会社は、「住まいを愛し、きれいに掃除して、大切に長く住んでくれる人」にはとても寛容です。皆さんは、DIYしたいと交渉するときに、それを十分にアピールすべきだと思います。

きれい好きな入居者さんには、長く住んで欲しいです!

申請のときには、管理会社の判断や交渉を楽にする!

DIYを管理会社に承諾してもらうための考え方を順番に見てきましたが、実はもう一つ、大切なことがあります。これは大変情けない話なので本当は言いたくないのですが、皆さんの「賃貸住宅でもDIYしたい」という夢を叶えるために正直に言います。 管理会社で働く社員は日常業務がとても忙しく、「面倒なことはできれば避けたい」と思っているので、「面倒だなあ」と思われないようにしなければならないのです。
管理会社の本業とは、入居者さんから家賃をきちんと支払ってもらって、それを大家さんに送金したり、水漏れなど建物の故障を修繕手配したり、消火器やエレベーターなどの設備の点検をしたり、廊下の清掃をしたりすることです。その合間に、入居者さんからの「上の部屋の足音がうるさい」などのクレーム対応もしています。空室が出たらリフォームして、次の入居者さんを見つけなければなりません。「それは忙しそうだ」と思っていただけたでしょうか?
そんな日常業務の中で入居者さんからDIYしたいと連絡が来た場合、大家さんに相談する前に自分たちがそのDIYの内容を理解する必要がありますし、大家さんに内容を説明できるような資料を作る必要があります。大家さんからは「管理会社が良いならいいよ」と言われることも多いので責任重大です。そこで、今まで見てきた①~⑤のようなことを確認する必要があるのですが、管理会社側から入居者さんへ質問して自分たちが理解し、それを説明資料としてまとめて大家さんに持って行くとなれば、それは「面倒だなあ」となってしまいます。なかなか積極的な気持ちになれないばかりか、その時点で「ダメ」と判断してしまうかもしれません。つまり何が言いたいかというと、DIYしたい入居者さんは、①~⑤について、受け取った管理会社が内容をすぐに理解でき、そのまま大家さんに渡せるような資料を準備してから相談して欲しいのです。

管理会社の仕事は忙しく、こんな気持ちになることも…

実際にDIYさせて欲しいと相談するなら

私がもし入居者さんの立場なら、こんな感じでDIY申請のお手紙を作成すると思います。

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快適に暮らしていることのお礼
やりたいDIYがあること、その理由
(便利にしたい、好きなデザインにしたいなど)

退去時に原状回復せず、そのまま残したいこと
次の入居者にもプラスになること
安心してもらえる施工のやり方を行うこと
材料費などかかる費用は自分で負担すること
退去時に施工上の不具合が出た場合は修理費用を負担するつもりがあること
(想定している万一の場合の原状回復作業とおよその費用感も)

お部屋が気に入っており大切に長く住むつもりなので、承諾して欲しいこと

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これらは、今の住まいではなく、新たな引っ越し先を探して入居申し込みをするタイミングで相談しても良いと思います。空室期間が長くなっている、一つの物件に複数の空室がある、物件自体が古いなどの場合には、承諾してもらえる可能性も上がると思いますよ。

また、不動産ポータルサイトにDIY可能と記載があっても、どのレベルでDIY可能なのか、退去時のルールはどうなるのかが分からないケースもあるので、今回の考え方を参考にして申請すればトラブル防止になると思います。

皆さんの健闘を、心から祈っています!

文:伊部尚子

  • この記事を書いた人

伊部 尚子

独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。好きな工具はBOSCHのコードレス電動ドライバー。DIYアドバイザー、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、CFP®

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