《 DIY賃貸推進プロジェクト 》Vol.015

サイズ指定して木材を購入してみよう!《有孔ボードを壁に取り付け編》

投稿日:2020年11月26日 更新日:

木材を使ったDIY、自分でサイズカットしなくて済む方法はないか?

「DIY」と一口に言っても、その中にはいろいろなジャンルがあります。木工もその一つ。得意な人は棚や机も自作していて羨ましいですが、木材をカットするためには丸のこやジグソーなどの電動工具がないと大変。でも、たまにしかやらないのに道具を揃えるのはハードルが高いですよね。また、道具があってもどこで木材を切るのか?という問題もあります。大きな音が出ますし、木屑も出るので、できる環境は限られると思います。

ホームセンターでは購入した木材をサイズカットしてくれるところもありますが、近所にホームセンターがないと行くまでが面倒ですし、車がないと家まで木材を運べません。
そんなときにとても便利なのが、サイズ指定で木材をカットして、郵送してくれるお店です。今回はそんなお店を利用してDIYする方法をご紹介したいと思います。

ベッドのヘッドボード代わりに有孔ボードを取り付けたい

私の住まいはリビングと寝室が繋がっており、大きな本棚を間仕切り代わりにしています。前回は、この本棚の裏側を、輸入壁紙とペンキで素敵に変身させました。

寝室側から見える、本棚の裏側。 輸入壁紙とペンキで本棚の裏とは思えぬ仕上がりに満足。

きれいになった本棚の裏側を見ていたら、またまたDIY欲がムクムクと湧いてきました。ベッドのヘッドボードを作りたーい!!
なぜかというと・・・
うちのベッドスペースはコンパクトなのでヘッドボードがないベッドを置いています。壁側が頭なのですが、実はずっと不便さを感じていることがあったのです。
その一つはスマートフォンの充電問題。コンセントが普段寝ている頭側の壁の下の方にあり、そこから充電コードを繋いでいるのですが、しょっちゅうベッドの下にコードが落ちてしまい、その都度壁とベッドの隙間に手を突っ込んで引っ張り上げていました。スマホ本体も置き場がなく、ベッドの枕の隣に乗っていましたが、寝返りしたときに触ってしまい、ベッドの下に落下してしまうことがよくありました。寝ているときに「ゴトッ!」と音がすると驚いて目が覚めてしまうので困っていました。
そして、もっと不便を感じていたのが、夫側のスマートフォンの充電問題。夫は通路を隔てた壁際のコンセントから延長コードを引っ張ってスマートフォンを充電しているのですが、古ぼけた延長コードがとぐろを巻いており見た目が微妙、しかもこの奥はクローゼットの入り口なので、コードに引っかかりそうになって危ないのです。正直言って、毎朝とても邪魔でした。しかも、なぜかこのコンセント、通電させるスイッチがあるのですが、それを押すと光る!!真っ暗にして寝たい私は、この一晩中ずっと点灯している明かりを何とかしたかったのです。

夜間の足元灯なのでしょうが、点灯させないとコンセントが使えないのです。

私の頭側のコンセントからコードを延長させて夫側でも使えるようにすれば、この灯り問題が解決するはずです。コードが床を這うのは掃除が大変になるので、コードを持ち上げて引っ掛けられるようにし、更には自分のスマートフォン置き場も確保したいと考えました。
しかし、ヘッドボードはなるべく厚みのないものにしないと、足元側の通路が狭くなってしまうという都合もありました。そこで、有孔ボードを設置することにしたのです。

ベッドの頭側の壁。ここに有孔ボードを2枚設置してする計画。 マスキングテープを貼って位置をイメージ。

穴を開ける前に、壁の裏側を調べよう

有孔ボードを取り付けたい部分の壁を叩いてみると、低くこもった音がするので石膏ボードだということがわかりました。ここに有孔ボードを取り付けるために、ビス穴を開けなければなりません。室内の壁には、たとえ大家さんがOKしたとしても建築法規上穴を開けてはいけない壁があるので注意が必要です。ここは穴あけOKな壁でしたので、さっそく壁の中の構造を調べていきましょう。
壁の裏側を調べるのには、私の超お気に入りのアイテム、BOSCHのマルチ探知機GMD120か大活躍します。壁の裏側の調べ方については、こちらの記事も参考にしてください。
今回有孔ボードを設置したい場所の右端、左端には木下地があるようで、センサーが反応していました。

右側。下地がある場所に来ると音と光で知らせてくれます。

左側も、センサーが反応しました。

中央には下地はなかったので、壁の奥はスカスカです。ここには石膏ボードアンカーを使ってビス留めしなければなりません。

下地がない場所だとこのようにセンサーが反応しません。

注意しなければならないのは、コンセントがある場所の近くには電線があることです。壁に穴をあける際に、間違って電線を傷つけることは絶対に避けなければなりません。
電線は天井から下ろしてあることが多いのですが、床下から立ち上がっていたり、横に伸びていたりすることもあります。コンセントやスイッチのプレートを外して中を覗くと、電線の伸びているおよその方向がわかる場合もあります。
下地や石膏ボード壁を突き抜ける長さのビスを使わないことでも、電線への傷つけは防げますが、まずは電線の位置をできる限り把握しておくことが大切です。 私がBOSCH のマルチ探知機GMD120を愛用しているのは、通電線を探知する機能が付いているからです。3万円超とちょっとお高いのですが、通電線だけでなく金属、通水樹脂管も探知できるマルチな探知機なので、1台持つならこれがおすすめです。私はこれを手に入れるまでに2台の壁裏センサーを買いましたが、最初にこれに出会いたかったと思っています。

左上に電気マークが点灯して知らせてくれます。

取り付け場所の左右の端には下地が入っていることがわかったので、もっと詳しく調べるために、アナログな針式の下地探しを使います。下地がある場所に刺すと途中で止まりますが、ブスッと奥まで刺さる場所には下地がありません。
下地がある場所に刺すと途中で止まるので、石膏ボードの厚みもわかり、石膏ボードアンカーを使う際の参考にできます。コンセントプレートやスイッチプレートのある壁は、プレートを外せば石膏ボードの厚みが調べられますが、何もない壁のときは針式の下地探しを使って厚みを調べることができるのです。

下地がある場所の境目にマスキングテープで印をつけます。 テープの左側には木下地があります。

スイッチやコンセント、内部はどうなっているの?

今回有孔ボードを取り付けたい部分の壁には、スイッチプレートとコンセントプレートがあります。プレートの上にかぶさる部分の有孔ボードに穴を開けて、スイッチプレートをボードの手前に出す施工を行いたいと思います。
スイッチプレートのカバーを外すとどうなるか見てみましょう。安全のため、スイッチに繋がるブレーカーを下ろしてから作業してください。

パナソニック製のスイッチプレートです。

プレートの下側に小さな切り欠きがあり、そこにマイナスドライバーなどを差し込んでプレートのカバーを外します。

プレートのカバーを外したところ。

次に、ビス止めしてある枠を外します。

プレートの枠を外したところ。

今度は、普段パチパチと押しているスイッチ部分を外します。このタイプはスイッチ部分の左の裏側に爪があり、引っ掛けて留めてあるので、それを外します。

スイッチ部分を外したところ。

金属プレートの上下のビスを外すと、金属プレートごとスイッチの本体部分が壁から浮いてきます。これが普段見えないスイッチの正体です。今回はスイッチやコンセントの位置に合わせて有孔ボードに穴を開け、本体部分を手前に出して、新たに有孔ボードにビス留めする作業が必要になってきます。電線をつなぎ替えるなどの作業が発生する場合は、電気工事士の資格が必要になるので注意してください。

これがスイッチの正体!骸骨みたいですね。

有孔ボードのサイズを図って注文

今回有孔ボードを発注するのは、株式会社アサヒさん。自社工場にて有孔ボードを製造され、加工販売をされています。サイズオーダーも依頼でき、必要な備品も販売されているので、DIY好きにはとても助かるメーカーさんです。ホームセンターで売っている合板そのままではなく、さまざまな色柄の有孔ボードがリーズナブルな値段で手に入ります。
私が今回選んだのはリアルウッドシリーズWT-6630ホワイトヒッコリー。周囲のインテリアに合わせて白い木目調にしたかったので、ピッタリのイメージです。
有孔ボードの加工穴のピッチは、一般的に25mmと30mmがありますが、今回は穴があまり多くなくてよいと思い、30mmを選びました。板の厚みは5.5mm、原板1枚のサイズは910mm×1,820mmなので、2枚使います。
今回設置する場所には内装制限がないので、不燃材料ではない有孔ボードを選びましたが、内装制限がある場所に設置するのであれば、有孔加工をした状態で不燃認定を取得しているものを選んでください。

自分で塗装するのもアリですが、今回はそのまま使える木目調を選びました。

カットして欲しいサイズを指定して見積もりを依頼する必要があるので、ボードのサイズと、コンセントとスイッチの穴位置やサイズを指定します。
手書きでもよいと書いてあったのですが、とりあえずエクセルで作ってみました。

エクセルで自作した図面。これでちゃんと指定できているのか正直不安でしたが大丈夫でした。

このエクセルシートを添付して、ホームページのお問合せフォームから見積りを依頼してみると、翌日には見積りがメールで届きました。個人宅や現場納品の場合は、商品のサイズによっては大型商品配送料がかかるとのことです。金額を確認し、URLが貼られていた支払い決済入力画面からカード決済できました。

いよいよDIY開始!!

心待ちにしていた有孔ボードが、とうとう届きました! でかい!! そして、指定した位置にちゃんと穴が開いていて感動しました。 今回は枠も付けたかったので、別のオンラインストアで5.5mm厚の有孔ボード用の枠を探して購入しました。そのほかフック類は株式会社アサヒさんで一緒に注文、有孔ボード用の取付ビスはビスの頭を隠すキャップを白にしたかったので別のオンラインストアで購入、石膏ボードアンカーもさらに別のオンラインストアで買い求めました。

どど~んと存在感のある有孔ボード2枚。 サイズカットした余りも一緒に送ってくださいました。

有孔ボードのほかに注文した枠は、もともと1枚の有孔ボード用の枠なので、長いのと短いの2本ずつのセットでした。

有孔ボード取り付け用のビス、石膏ボードアンカー、 有孔ボード専用フックを一緒に購入。

今回、有孔ボード用の枠はサイズにカットして購入できるオンラインストアが見つからなかったので、自分でカットすることにしました。棒状の柔らかい木材なら、木工用ののこぎりで簡単に切断できます。

コンパクトで使いやすい折りたたみ式の木工用のこぎり。 カッターのように気軽に使えます。

ペンで印をつけた部分を切っていきます。真っ直ぐ切るコツは、真上から切断面をしっかり見ながら、少しずつ切ることです。

切れたら切断面にヤスリがけし、ペンキを塗っていきます。周辺のインテリアとの統一感を出すため、ペンキは本棚の裏側を塗った夏水組オリジナルのペイント、カシュミュールを使うことにしました。

ペンキをちょこっと塗るなら、バケットの代わりにミニトマトの容器が便利。

二度塗りして乾燥させます。

枠に塗ったペンキを乾燥させている間に、有孔ボードを取り付けていきます。
有孔ボードを設置する予定の壁にしっかり当てて、ビスを留める場所の壁に印をつけます。下地がない場所にビス留めするのに、石膏ボードアンカーを埋め込む位置を決めるためです。石膏ボードアンカーの位置が少しでもずれてしまうと、ビスを差し込む有孔ボードの穴の位置と合わなくなってしまうので、しっかり合わせます。

有孔ボードを巾木の上に設置したいので、夫に持ち上げて支えてもらい、 ビス穴位置に印を付けました。 ビスは1枚に付き、左右に3箇所ずつで固定する予定。

コンセントはこんな感じに有孔ボードの穴をくぐらせます。

下地のない場所に石膏ボードアンカーを設置していきます。有孔ボードを取り付けたい場所の石膏ボードの厚みが12.5mmだったので、石膏ボードアンカーは適合板厚11~13mmのトグラーTBを購入しました。賃貸住宅の石膏ボード壁は、9.5mmか12.5mmのことが多いです。壁に電動ドリルドライバーで穴を開け、石膏ボードアンカーを埋め込みます。

トグラーTBを設置したところ。 石膏ボードに開けた穴に、左右に開いている羽のような部分を閉じて差し込みます。

有孔ボード取付け用のビスのセット。

やっと本番、有孔ボードをビスで取り付けていきます。下地のある場所にはそのまま、ない場所には先ほど壁に埋め込んだ石膏ボードアンカーの位置にビス留めしていきます。

有孔ボード取り付け用のビスは、壁から板を浮かせるための スペーサーを挟んで取り付けます。 手前の輪っかは後からビス頭を隠すキャップをはめるためのものです。

ビスを打ち込むと壁の奥でトグラーTBの羽部分が開き、 石膏ボードを挟み込んで固定します。

有孔ボードが壁に取り付けられたら、スイッチとコンセントの本体、枠をビス留めしてプレートをはめ戻します。ペンキが乾いた枠も左右と上部にはめ込んで完成です!!

専用フックを取り付け、コンセントに延長コードを取り付け、 フックを使ってコードを床から浮かせてみました。

ベッドを戻すとこんな感じ。高さを本棚と合わせたのは夫のアイデア。

夫はいつも寝る前にベッドで本を読んでいることが多いのですが、さあ寝ようとなったときに、わざわざ一度起きて、本と眼鏡を足元の壁際にある棚に置きに行っていました。眠くなったらすぐ寝られるように、ブックスタンド用のフックを購入したのですが、案の定大喜びで使ってくれています。

ブックスタンド用の専用フック。

眼鏡もこの通り! 寝ている姿勢で手を伸ばせば置くことができます。

眼鏡置き専用フックではないのですが、うまく乗っかりました。

私の悩みだったスマートフォンの充電用コードも、ベッド下に落ちないように引っ掛ける場所ができました。寝るときはスマートフォンを置く場所にしています。

ベッドの上にスマートフォンを置かなくてよくなりました。

そして、今回私が一番解決したかった足元灯点きっぱなし問題と、古ぼけたコードがとぐろを巻いて邪魔問題も、見事解決したのです! このDIY以来、ものすごく快適に寝られるようになり、大大大満足です!

足元スッキリ!延長コードのおかげで足元灯問題も解決しました!

今回のように木材をカットして購入したい場合は「木材 カット 通販」などと検索すれば、オンラインストアがたくさん見つかります。これで、ホームセンターが家の近所になくても、車を持っていなくても木工DIYが可能になります。お店でカットしてもらうと切断面もきれいですし、何より手軽なので是非利用してみてください。
自分が必要な場所に棚が欲しいという人は多いですが、この方法ならお手軽に、希望のサイズにピッタリの棚板が手に入ります。木工DIYで、毎日の生活の質を上げましょう!

文:伊部尚子

  • この記事を書いた人

伊部 尚子

独立系の賃貸管理会社ハウスメイトマネジメントに勤務。仲介・管理の現場で働くこと20年超のキャリアで、賃貸住宅に住まう皆さんのお悩みを解決し、快適な暮らしをお手伝い。金融機関・業界団体・大家さんの会等での講演多数。大家さん・入居者さん・不動産会社の3方良しを目指して今日も現場で働いています。好きな工具はBOSCHのコードレス電動ドライバー。DIYアドバイザー、賃貸不動産経営管理士、公認不動産コンサルティングマスター、CFP®

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