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「トレーニングマシーン・TRXは賃貸住宅に設置できるか?」《ワクワク賃貸研究所》

〈研究レポートVol.010〉

「ワクワク賃貸®妄想中」で取り上げられた「TRXがある部屋」の実現性を検証したい

ワク賃004(ハンモックがある部屋)室内にて

きなこ助手
・・・というわけで今日は読者の方をご案内しにワク賃004まではるばるやってきましたわ!
森下所長
新築のお披露目会に来て以来だから懐かしいなぁ。
きなこ助手
ハンモックがすでに設置されているというマンションですわね! わーい(ボヨーンボヨーン)
森下所長
危ない! 落ちる!
きなこ助手
あ、そうこうしているうちにお客様がいらっしゃいましたわよ!
しまださん
こんにちは! しまだと申します。TRXが取り付けられるかもしれないお部屋を見せていただけると聞いて楽しみにしてきました。
私は浅草にある「タタミスタジオ」でインストラクターをしているのですが、今日は代表のたむらも連れてきました。一緒に拝見させていただいてもいいですか?
森下所長
もちろん!大歓迎です。
たむらさん
こんにちは。 タタミスタジオ浅草のたむらと申します。
森下所長
はじめまして!森下です。
きなこ助手
きなこですわ!
森下所長
僕は今回メールをいただいて、はじめてTRXというものを知ったんですけど、このワク賃004のハンモック用のフックでも利用できそうでしょうか?
たむらさん
うーん、そうですね、このフックがどのようにして設置されているかによって変わってくるんですが・・・。
森下所長
実はこのマンションは重量鉄骨造なんですが、このフックは天井の中にある鉄骨に溶接されているんです。耐荷重は約100キロです。
お二人
それはすごい!
森下所長
新築のときじゃないとできない工夫ですね。
たむらさん
私もいろいろな不動産を見ていますが、そこまでやっているものはほぼないですね。
それなら設置はほぼ問題ないと思いますが、耐荷重はもう少し欲しいですね。
しまださん
あと、ハンモック用だから各フックが部屋の隅に設置されているんだと思いますが、トレーニングのことを考えるとお部屋の中心とかにあった方が使いやすいです。
森下所長
なるほど! まあやっぱり元々の用途が違うからそのままは使えないということですね。
きなこ助手
でも方向性は近いものがありそうですわね!
たむらさん
しかし、もっと本格的に、プロ向けに作るのであればもっともっと工夫と注意をしないと危険かもしれないですね。
森下所長
危険なんですか?
たむらさん
そのあたりの解説は、私の運営しているタタミスタジオを見ていただいた方が早そうですね。
きなこ助手
なんと、本日2箇所目のご案内ですわね!
森下所長
むしろ僕らが案内される側だよ・・・。ええ、是非見学させてください!

タタミスタジオ浅草にて

きなこ助手
・・・というわけで、「タタミと天高5mスタジオ。エアロ(空中)・ヨガをはじめとしたボディワークと健康・知覚に関連するユニークなワークショップ」を行っているタタミスタジオ浅草さんにお邪魔していますわ!
森下所長
思いっきりホームページからの引用だね・・・。
それにしても、天井の高さが5mあるから、普通のマンションなら2フロア分ぐらいの高さがあるんだね!

 

きなこ助手
おや? なにやら天井から布がぶら下がっているわね。
これは何かしら?
しまださん
これはエアロ・ヨガをするときに使うものです。ちょっとやってみましょうか?

 

きなこ助手
ええええ! 布にぶらさがってそのまま空中運動できるなんてすごいですわ!
森下所長がやろうとしたらあっという間に腰をバキっとやること確実!
森下所長
ぎっくり腰の話はやめろ。
これがタタミスタジオのエアロ・ヨガというものなんですね。
たむらさん
ええ、そうです。これをやるためにタタミスタジオ内には鉄骨を組み上げていて、鉄骨同士を溶接しています。でも実はこのスタジオは賃貸物件なので、壁や柱に傷をつけないように工夫していますし、原状回復できるようにしてあるんですよ。
森下所長
ええっ、もとからあるものを使ったんじゃなくて、ご自身で作ったんですか!?
たむらさん
設計のプロに依頼して構造計算までしています。プロの使用に耐えるものにするためには、「横揺れしない」というのが絶対なんです。
きなこ助手
た、たしかにこれをやっている間に鉄骨が揺れてしまったら怖いし危険ですわね。
たむらさん
耐荷重で言えば、このスタジオの鉄骨はトン単位の重量にも耐えられるようになっています。エアロ・ヨガに必要な耐荷重は実体重の2.7~3倍なんです。
森下所長
なるほど、今回のテーマはTRXだけれど、TRXもより本格的にやろうとするとワク賃004ぐらいの耐荷重ではちょっと足りなくて危険、ということなんですね。
たむらさん
それももちろんありますが、そもそもTRXなどのトレーニング機器は、きちんと専門トレーニングを受けた人が使わないと問題になる可能性があるんです。たとえば、家にこの種のトレーニング機器を設置した結果、死亡事故が発生するということだってあり得ます。
森下所長
ええっ! そうなんですか!
たむらさん
特に、機器の設置を見様見真似でやったりするととても危険なんです。そのため、タタミスタジオのホームページの写真でも勝手に真似ができないようにロープや布の接続部分は写さないようにしています。
きなこ助手
まさにプロならではの意見ですわね・・・。
森下所長
「ワクワク賃貸®妄想中」の記事やイメージイラストだと、ハンモックみたいに最初からTRXを設置することを考えてるみたいだったけど・・・

 

たむらさん
それはやめておいたほうが良いでしょうね。
森下所長
安全のためにはそうした方がいいんですね。
すると、大家さん側は室内に鉄骨を組んだり、あるいは天井内の鉄骨を露出させておくというぐらいまでにしておいて、トレーニング機器の設置はちゃんとプロの人にやってもらうとか、あるいはプロの方だけに住んでもらう、というのがいいのかもしれませんね。

たむらさん
そのとおりです。プロとしては天井の内側にあって見えない状態の鉄骨はちょっと怖くて使えない、というのが正直なところです。鉄骨がむき出しになっていれば、メンテナンスも可能ですし、異常があっても気づきやすいので安全性の面からも良いと思います。
きなこ助手
全部屋にプロ仕様の鉄骨がついていれば、TRXやエアロ・ヨガのプロが全国から集まるマンションになりますわね!
森下所長
うーん、しかしさすがにもうちょっとマーケティング的な面も考えないと・・・。

たむらさん
そうですね、プロ仕様になればもちろんプロの皆さんは喜びますけど、「ちょっと興味がある」というレベルの人だと持て余してしまうかもしれません。
天井に鉄骨を露出させるのであれば、居住する室内につけるよりは共用トレーニングルームを一部屋作って、そこにやった方が良いかもしれません。
きなこ助手
なるほど! プロお墨付きのトレーニングルーム付き賃貸住宅とういわけですわね!
森下所長
そうか、なにも室内に設置することだけを考えなくっても良いのか。

たむらさん
個人的には、やっぱり事故があるといけないですからトレーニングルームに24時間カメラを設置したり、利用者さんの利用方法はちゃんと面接をして確認したほうが良いと思いますし、もっと言えば入退出管理もきちんとしたほうが良いと思います。
森下所長
ありがとうございます! やはりプロの方の意見は参考になります。
一歩間違えば大怪我や死亡事故につながるものですから、安全への配慮はきちんとしておかないといけませんね。
きなこ助手
森下所長! トレーニングルームの天井の鉄骨をむき出しにして、TRXを鉄骨本体に取り付けていいか、かっぱ寿司の田中社長に聞かなくてはですわ!
森下所長
NK総合建築だ! このネタ何回引っ張るんだ。
きなこ助手
お寿司だけに!
森下所長
やかましいわ。
森下所長
もしもし森下です。かくかくしかじかで天井の鉄骨をむき出しにしたいんですが。
田中社長
いつものことですが、けったいなことを調べてますね・・・。
鉄骨造で使われる鉄骨は、上層の屋根(または床)部のコンクリートとデッキプレートというものが接合されていて、そこにH型をした鉄骨が接合されるんです。このデッキプレートにはフラットデッキやQLデッキという種類があるんですが、このうちQLデッキの方であれば鉄骨との間に5cmぐらいの隙間が空きますから、そこにヒモなどを通して、TRXを設置することはできますね。

 

きなこ助手
おおおっ! これはいよいよ実現できそうですわね!
田中社長
ただ、こういう鉄骨には耐火被覆が施されてますから、TRXを利用していくうちにヒモ部分が引っ張られたりこすれたりすることで、被覆されているものがポロポロと落ちてきちゃいますね。
森下所長
うーん、それはちょっとマズイような・・・。
田中社長
なので、鉄骨自体にさらに梁を渡して、その梁には耐火被覆をしないように施工すればいいんじゃないですかね。ワク賃004では鉄骨に金具などでハンモック用のフックを打ち付けたわけですが、それをさらに拡大したようなイメージですね。
きなこ助手
でも、お高いんでしょう?
田中社長
いや、新築の時、設計段階から計画に組み入れておけばコスト的にはそんなに大きくアップはしないと思いますよ。
森下所長
なるほど! やっぱり今回の妄想は新築向きなんですね。
きなこ助手
既存の建物のリノベーションでやろうとすると、それこそタタミスタジオさんのように室内で鉄骨を組み上げる必要がありますものね。

気になる妄想実現度は・・・?

森下所長
うーん、今回の実現度は結構難しい判断だけど、50%ぐらいかな
きなこ助手
室内でのトレーニングというのはあまり考えずに、共用部分にトレーニングスペースを設けて、その設備の一環としてトレーニング機器用の鉄骨を作っておく、というイメージですわね。
森下所長
やっぱりこれは新築の企画とか、あとはたとえば社員寮の一棟リノベーションなんかであれば検討できそうかな。
でも、TRXに限らず専門のプロが監修したトレーニングルーム付きの賃貸住宅なんてないだろうから、実現すれば注目されるような気がする。
きなこ助手
「トレーニングルーム 賃貸マンション」で検索するとスポーツジム付きのタワーマンションばっかり出てきますわね。賃貸があっても、家賃もお高いですわ・・・。
森下所長
そうだね、スポーツジムとかフィットネスルームは高級分譲マンションの、特にタワーマンションでは人気の設備だったりするからね。賃貸専用マンションで本格的なものを実現するというのは面白いと思う。
きなこ助手
取材にご協力いただいたタタミスタジオのたむらさんとしまださんに、厚く御礼申し上げますわ!
森下所長
本当にありがとうございました!

左:たむらさん 右:しまださん

研究協力

 

タタミスタジオ

 

プロフィール

株式会社BF.RECが運営するスタジオで、文中での紹介の通りエアロ・ヨガをはじめとしたボディワークと健康・知覚に関連するユニークなワークショップを行っている。記事中に登場した天井高5mの「タタミスタジオ浅草」のほか、タタミとハンモックのある「タタミスタジオ蕨」も運営中。

 

連絡先

URL https://bfrec.com/tatamistudio/

 

 

田中 謙次(タナカ・ケンジ)
NK総合建築株式会社一級建築士事務所 代表取締役

 

プロフィール

ゼネコン、中堅工務店を経て2003年3月、29歳で独立。
不動産が好きで自身も23区内に10棟73室を保有、運営する不動産投資家(2018年3月現在)。
築古戸建をセパレート再生する収益化リノベーションや、コストバランスに優れたマンション、アパートの設計・施工を得意とする(構造は問わない)。
「大家さん、投資家の目線を持った建設会社」として高く評価されている。

 

連絡先

E-Mail k.tanaka@nk-sogo.net
URL http://nk-sogo.net

執筆:森下智樹
企画・監修:久保田大介