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《 世界のワクワク住宅 》Vol.034

組み合わせ自由自在!軽量でカラフルな建築部材<エバー・ブロック>〜ニューヨーク(アメリカ)〜

投稿日:2020年9月10日 更新日:

住宅は連続する空間を仕切ることで初めて形になるもの。壁を建てることで初めて生まれる、あちらとこちら。仕切りを柔軟に扱うことができればそれだけ空間は自由に変容し、使い道が広がる。今月は、こうした仕切りの美学と可能性を追求するエバー・ブロック・システムズをご紹介しよう。

「エバー・ブロック」は2015年にニューヨークで生まれたプラスチック製のモジュールブロック。軽量、カラフル、そして丈夫なため、住宅の間仕切りや小部屋の造作のみならず、組み立ての方法次第で展示会ブースや特設ステージ、一時的なオフィス、ひいては臨時の医療施設まで作り上げることができる本格的な建築部材だ。

エバー・ブロックの使い方はとてもシンプル。ブロックにはコネクター・ラグと呼ばれる突起があり、そこに次のブロックの下部がぴたりとはまることで、連結と積み上げが可能となる。ネジや工具は不要で、一般的な工事にともなう土埃の飛散などの心配ももちろんない。耐衝撃ポリプロピレン製のブロックは一つ当たり1キロと軽量だが、2トンの荷重にも耐えられるというから大掛かりな造作にも向いている。解体と再利用が可能で、レンタルも行なっているため、「ユニークでグリーン(エコ)な建築ブロック」としてメディアの注目も年々高まっている。

ブロックには約30センチ×15センチのフルサイズ、ハーフサイズ、クオーターサイズがあり、色も14色と豊富。この基本ブロックに加え、天板となるシェルフ、窓や出入口の上枠となるリンテル、ドアセット、フロアパネルもあり、これらを組みわせることにより、より汎用性が高いシステムとなる。

ブロック同士はレンガの組み立てのようにずらして連結する方が側圧に耐えられる。屋外で風の影響が懸念される場合には、支柱やコネクター・ピンでブロック同士を繋いだり、地面に固定することができるので安心。また、日本で行われた耐震実験では震度7の揺れでも崩れないことが立証済みである。

同社の創設者でCEOのアーノン・ローザン氏はいくつものベンチャー事業を立ち上げてきた企業家。ある時、3人の息子たちにこう言われたそうだ。「パパはものを組み立てるのが好きでしょ。新しいビジネスを始めるのなら、何か手で触って楽しめるものがいいよ!」
そこで、ブロックで遊ぶのが好きだった自身の子ども時代を思い出したと言う。

「私は小さい頃から物を作るのが好きでした。木材、プラスチック、スチレンボード、紙など色々な物に手で触れ、新しいアイディアを考えることが好きだったんです。これを使って何ができるだろうとイマジネーションを全開にして考え、レゴやプラモデルで遊ぶことが今のビジネスにつながる原体験だったとも言えます。そうして作りあげたエバー・ブロックを多くのデザイナー、投資家、プロや個人の方に革新的に、クリエイティブに使っていただけたら嬉しいです」。

では、実際の使用例を見ていこう。
こちらは2017年にニューヨークのブライアント・パークで開かれたウィンター・カーニバルに設置された「氷の城」。1800個のエバー・ブロックをおよそ6時間で組み立てた。このようにブロックには半透明色のものもあり、電源ケーブルを通してLEDライトで照明・発光効果を得ることもできる。

エバー・ブロックのほかに、壁面造作を可能とするエバー・パネルもある。展示ブース、店舗の陳列棚、舞台や映画撮影のセットなど、その活用法は実に幅広い。約2.4×1.2メートルから30センチ角のものまで、いくつかのモジュールサイズがあり、それらにスイングドアやアコーディオン式の扉、パネル式の窓を組み込むこともできる。基本的には手を加えることができない賃貸物件で使用することも考えられるだろう。

恒久的な建材ではないからこそ、エバー・ブロックにはさまざまなユニークな使い方がある。たとえば、チームワークを高めるエクササイズとして、企業や教育現場、スポーツチームのワークショップに使われることもある。ゴールを定め、参加者の役割を考え、ともに最終形態を作り上げていく。そんな大人同士でのブロック遊びから強い連体感が生まれるらしい。また、クリスマスツリーの制作キットも販売しているので、こちらは子どもたちと楽しみたい。

エバー・ブロックはこれまで全米オープンゴルフ、ナイキ、グーグルなどの華々しいイベントや空間演出に採用されてきたが、今年に入り、より社会的意義の高い用途にも使われるようになった。
新型コロナウイルスの感染拡大により、アメリカ各地で簡易病棟の早急な設置が必要となったのだ。

たとえば、ルイジアナ州ではコンベンション・センターが臨時の医療施設として使われることが早々に決まったが、この時に同社のシステムが大いに活用された。エバー・ブロックやエバー・パネルを使った簡易病室やナース・ステーション、テント、回復者用スペースなどが設けられ、多くの患者を受け入れる体制(約2,000床分)が4月上旬という早い段階で完成した。スピーディーな搬入と組み立てはもちろんのこと、病院で使われるファイバーグラスパネルと同じ素材であることから、衛生面の高さが評価されたのだ。

また、人と人との安全な距離を保つ「ソーシャル・ディスタンス」が求められるようになったわけだが、エバー・ブロックとエバー・パネルはここでもその利便性を大いに発揮している。もともとパーテーションやキュービクル(半個室型オフィス)の設置に活用されていたが、こうした切迫した状況下で安全なオフィス環境をすみやかに整える一つの解決策として利用者が格段に増えたそうだ。

遡れば、子どもたちのかわいいアドバイスから始まったエバー・ブロック・システムズ。ご覧いただいたように、私的な空間から社会活動を支える施設まで、その用途と可能性は広がり続けている。

ブロック6個でスツールが、18個でコーヒーテーブルができると聞くと、創作意欲を刺激される方もいるのでは? 興味のある方は、画面上で試作ができる3Dビルダーがあるので、是非一度ご覧いただきたい。

写真/All sources and images courtesy of the EverBlock Systems
特別協力/株式会社こうじばん マイ・ブロック事業部
*「エバー・ブロック」は日本国内では「マイ・ブロック」という名で、株式会社こうじばんが取り扱っている。詳細は下記バナーをクリックしてご確認ください。

取材・文責/text by: 河野晴子/Haruko Kohno

  • この記事を書いた人

河野 晴子(こうの・はるこ)

キュレーターを経て、現在は美術を専門とする翻訳家、ライター。国内外の美術書、展覧会カタログの翻訳と編集に携わる。主な訳書・訳文に『ジャン=ミシェル・バスキア ザ・ノートブックス』(フジテレビジョン/ブルーシープ、2019年)、『バスキアイズムズ』(美術出版社、2019年)、エイドリアン・ジョージ『ザ・キュレーターズ・ハンドブック』(フィルムアート社、2015年)、”From Postwar to Postmodern Art in Japan 1945-1989”(The Museum of Modern Art, New York、2012年)など。近年は、展覧会の音声ガイドの執筆も手がけている。

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