《 アトリエ賃貸推進プロジェクト 》Vol.027

“令和の光悦村”=陶芸ヴィレッジ構想~約1,390坪の敷地内に穴窯、電気窯、蔵、倉庫を備えた茨城県古河市の邸宅を、陶芸家たちが集い暮らすアートコロニーに

投稿日:2023年5月4日 更新日:

「先代の想いを継いでくださる陶芸家を探してほしい」との要請

日本で焼かれた茶碗で、現在国宝に指定されているのは志野茶碗「銘 卯花墻(うのはながき)」と白楽茶碗「銘 不二山(ふじさん)」の2点だけです。
このうち「不二山」の作者である本阿弥光悦は、1615年に徳川家康から洛北鷹峰(京都市)の地を与えられ、さまざまな分野の文化人や職人、芸術家たちを集め、創作と風雅三昧の生活を送りました。その地は通称「光悦村」と呼ばれています。
さて、今回の「アトリエ賃貸推進プロジェクト」Vol.027では、この「光悦村」にあやかった、陶芸家を中心とした芸術村(アートコロニー)を一緒につくってみませんか?という呼びかけをしたいと思います。
場所は茨城県古河市久能1744。
約1,390坪の広大な敷地の中に旧宅と新宅、はなれがあるのですが、特筆すべきはオーナーのお父様(以降「先代」と呼びます)が遺された穴窯、電気窯、蔵、休憩所、倉庫などがあることです。
先代は生前、趣味(というレベルははるかに超えているように思いますが)で陶芸をなさっていて、これら陶芸関連施設をご自身でおつくりになり、陶芸仲間と一緒に創作に勤しんでおられました。
その先代の想いを継いでくださる陶芸家の方に、この地をお安く貸し、有効活用してもらいたいという申し出をオーナーさんからいただき、今回この場でお呼びかけすることにいたしました。
はじめは陶芸家の方に基盤をつくってほしいけれど、それから他の芸術ジャンルへ広がっていくことは問題ないそうなので、すべてのアートジャンルの方にこの構想をお伝えしたいと思います。

ご活用いただきたい物件の概要

それではさっそく、皆様にご活用いただきたい物件の概要をお伝えしたいと思います。
まずはこちらの全体図をご覧ください。
約1,390坪の敷地というのが、どれだけ広大なものなのか、少しイメージできるのではないかと思います。

こちらは正門です。堂々たる構えで、取材で訪れたときはここでもうビックリしてしまいました。
この正門から庭園の中の小径を通り、旧宅、はなれ、穴窯、蔵などへとつづいていきます。

正門を入ってすぐ右側に見える庭は、まるで公園のよう。
ここで親子がレジャーシートを広げてお弁当を食べていても、何ら違和感がないことでしょう。
芝生もきれいに手入れされていて実に清々しいです。

公園のような庭の右奥には新宅があります。
こちらは神奈川県にお住まいのオーナーさん一家がたまに訪れたり、ご友人の大学教授に提供し、ゼミが開かれたりするほかは、ほとんど利用されていません。今回、この新宅だけが賃貸の対象外となります。

新宅の向かいには旧宅とはなれが並んで建っています。2棟の建物ともつい数年前まで使われていたので、しっかりとしています。
上の写真は旧宅の外観。
旧宅の前の庭園には立派な植木が立ち並んでいますが、手入れはオーナーさんがしてくださるのでご安心ください。

こちらは旧宅と扉1枚をはさんで建てられているはなれの外観です。
旧宅もはなれも室内が立派なので、すぐにでもご紹介したいのですが、ちょっと我慢して、先に陶芸関連施設をご案内します。

陶芸関連施設のご案内

気になる陶芸関連施設ですが、はじめにメインの穴窯からご紹介します。
写真でどこまで伝えられるかわからないけれど、この穴窯はかなりの大きさです。
私は焼き物を鑑賞するのは大好きですが、陶芸そのものはよく知らないので、上手に説明できなくてすみません。
穴窯の中も覗かせてもらいましたが、想像していたよりずっと広くて驚きました。
この穴窯はしばらく前まで先代が陶芸仲間と一緒に使っておられたそうだから、使用してみないとわからないけれど、おそらく現役のはず。
穴窯がある賃貸住宅なんてご紹介するのはもちろん初めてですし、ほかの物件紹介サイトでもそうそうあるものではないでしょう。
ただし、最近は消防法の規制が厳しくなっているので、実際に利用したい場合は、消防署に届け出て、ご近所にもご挨拶に行くなどする必要があるようです。
現段階では「絶対に使えます」とは言い切れないので、すみませんが、その点はご容赦願います。

穴窯の隣にはオーナーさんが「休憩所」と称しておられる小屋があります。
私、個人的にはこの小屋が一番気に入りました。

オーナーさんにお話を伺うと、先代はおそばを打って仲間にふるまうことも趣味にされていたそうで、そのための小屋を作ってしまわれたのだとか。
これはもう「休憩所」だなんてレベルではなく、隠れ家的なお店と言ってもいい感じです。
そば打ち処も釜などがあって素敵ですが、食事スペースはテーブル式の囲炉裏があって、棚には先代が残した陶芸作品が並べられていて、趣味人でいらした先代の粋が伝わる空間になっています。

小径を少し行くと、2階建ての木造家屋が現れます。
蔵があるという事前情報をいただいていたので、うっすらとイメージはしていたのですが、入ってまたビックリしてしまいました。

どうです、この空間。
ちょっとしたギャラリーみたいじゃないですか?

そして、やや急な階段を上がると・・・

2階も蔵になっていました。
先代が遺された陶器をどうするかは要相談となりますが、いったんほかの場所に移させていただけたら、ここで作品展ができてしまうと思います。
ムクムクとワクワク妄想がふくらんでいきそうです。

敷地内には蔵のほかに倉庫もあります。
倉庫にも先代の作品がたくさん並んでいますが、先代はDIYも趣味にしていたらしく、工具がいっぱい残っています。
「使えるものは使っていただいて構いません」とオーナーさんが言っておられたので、これもいろいろ試していただきたいです。

そして倉庫の中には電気窯があります。

電気窯は扉を開けて中も撮影させてもらいました。
こちらも穴窯同様、現役かどうかは現時点ではわかりません。
メンテナンスは利用者さん側でやる必要があるので、丸投げしてしまうようで申し訳ありませんが、一度試しに使ってみていただきたいです。
なお、自費で新しい電気窯やガス窯を設置したいという相談には応じていただけるそうです。
そのために敷地のどこかに小さな小屋をつくりたいという希望があれば、前向きにご検討くださるとのこと。
ここにある“素材”をベースにして、自分たちの陶芸ヴィレッジを自分たちの手でつくっていく。オーナーさんはそれを積極的に応援してくださる。そんな構図だとご理解ください。

アトリエ利用も可能な住まい

住まいのほうも見ていきましょう。
まずは旧宅から。
旧宅は間取りで表現すると4SLDKとなり、専有面積は約175㎡もあります。

南西に位置する和室には立派な床の間がありました。

南東の和室とはふすまで仕切られていて、ふすまを外すと16畳の大空間となります。

南東の和室の隣にはリビングがあります。リビングというより応接間と言ったほうがふさわしい感じ。
ちなみにソファーやテーブルは希望すればそのまま使わせていただけると思います。
現時点ではこまかなことは決めておられなくて、利用希望者さんと一緒に相談をしながら進めていきたいとオーナーさんはおっしゃっていました。

リビングの横には玄関があります。
ここにも応接用のテーブルと椅子がありました。
写真には写っていませんが、右手前に大きな下駄箱も設置されています。

ダイニングキッチンはリビングの並びにあります。

キッチンはご覧の大きさ。
何人も並んで一緒に料理することができますね。
キッチンには勝手口がついているのですが、そこも勝手口というより普通の玄関といったほうがふさわしい感じ。とにかくスケールが大きい物件です。

浴室やトイレも普通に現役です。
しばらく人が住んでいませんが、清掃すればとてもきれいになると思います。

旧宅で私が一番惹かれたのはこの廊下。
和室をぐるりと廊下が囲んでいて、暑さよけになっています。
廻り廊下となっていることから、お茶室としても利用しやすそう。
和室以外でも屋外の庭で立礼席(野立て)を設置してお茶会が開催できますから、陶芸体験会とお茶会のコラボ企画をしてみても面白いかもしれません。

こちらは廊下から見た庭園の風景。
一度でいいから、こんな庭園付きの家で暮らしてみたいなあ。

旧宅とはなれはこの扉一枚で仕切られています。
扉には鍵がかかるようになっていますが、別々の世帯が暮らすようであれば、ここに本棚などを置いてしまってもいいかもしれません。

旧宅に続いて、はなれをご案内します。
はなれは3SLDKで、専有面積は約101㎡。
はなれと聞いて、もう少し小さな家をイメージされていたかもしれませんが、ここだけでも立派な邸宅です。

旧宅との仕切り扉を開くと、はなれの玄関に出ます。
玄関がそれぞれ分かれているので、違う作家さん同士が暮らしても問題なし。
そう言ったついでに話をしますが、旧宅もはなれも、ひとりで暮らすには広すぎる感じがあるので、作家仲間でルームシェアしていただいてもいいかもしれません。
オーナーさんはそれも前向きにご検討くださるとのことでした。

はなれの玄関に一番近いところにあるのが南東側洋室です。

酒樽をテーブルにされていて、あまりのカッコよさにしびれました。

その隣の南西側洋室です。
旧宅のときにも言いましたが、ここにあるソファーやテーブルなども希望すればそのまま使えます。

こちらは北西側洋室です。
聞けば、先代のお父様(つまり先々代)は油絵を描いていたそうで、ここは当時アトリエとして使っていた部屋だとのこと。
“令和の光悦村”の種は先々代がはじめに蒔いてくださっていたのですね。

こちらはリビングダイニング。
大きな本棚や食器棚が備えられているのが印象的です。

リビングダイニングの奥にはキッチンがあります。
旧宅ほどではないですが、こちらのキッチンも相当広い。
そして勝手口もついています。

浴室とトイレにはそれぞれ窓がついています。

はなれで私が一番好きなのはこのテラス。
ポートがついているから雨を気にせず、ゆったり寛ぐことができそうです。
テラスの全面には庭園が広がっていて、とても開放的。
ここで暮らし始めたら、良い意味で作風に影響が出てきそうですね。

テラスの先の庭園には、こんな石のテーブルとベンチもありました。

隣には家庭菜園用に整備したスペースがあるので、石のテーブルとベンチは休憩するためにつくったのだろうと思います。
今、家庭菜園ではオーナーさんがさつまいもを栽培しようとしているそうで、ご希望があれば、共同利用することもできるようです。
作陶の合間に野菜を育て、できたものを料理し、自分のつくった器で食べる。これ以上ない贅沢な暮らし方だなあと憧れてしまいます。

古河の街のご紹介

古河の街情報も簡単にご紹介しておきましょう。
今回の物件の住所は茨城県古河市久能1744です。
利用できる主な駅はJR宇都宮線「古河駅」(車で約15分)、東武日光線「南栗橋」駅(車で約18分)で、いずれも車利用となります(敷地は広いので車は複数台停めることができ、駐車代は無料です)。
「東京」駅から車で行くときは東北自動車道を使うと1時間20分ほどで着きます。電車利用の場合は「古河」駅まで1時間20分、「南栗橋」駅まで1時間12分ほどで行くことができ、想像していたよりずっと都心に近い印象です。
スーパーには車で行くことになりそうです。スーパーのひとつ、「ジョイフル本田」は古河店と幸手店がご利用いただけますが、このうち幸手店では陶芸用の良質の土が買えるという情報も入手しました。
飲食店は良さそうなお店がいくつもあり、オーナー一家は道路向かいの蕎麦屋「朝比奈」と洋食レストラン「のぐち」に訪れたり、「古河」駅に行く途中にある和食レストラン「丘里」に出前をお願いしたりするそうです。

「令和の光悦村」を一緒につくりませんか?

今回の構想は、オーナーさんの先代が遺された土地と建物、設備を十分に活用してくださる方(たち)を探し、その方(たち)と一緒に先代の想いを継いでいこうとするものです。
オーナーさんは、借りていただくことで金銭的な利益を得ることはさほど求めておらず、先々かかっていくと予想される修繕費や庭の手入れに要する費用などのために年間300万円~350万円ほどストックできればいいとお考えのようです。月額にならしたら、25万円~30万円ほどということになりますね。
この凄い物件をそんな金額で借りられるのは破格中の破格だと思いますが、それでも、ひとりで全部出すのは大変だと思うので、旧宅とはなれを別々の方に借りていただいたり、それぞれの建物の中でもルームシェアをしていただいたりしてよいとのこと。
またアーティスト・イン・レジデンスやアートギャラリーなど、収益につながる使われ方も検討の余地があると伺っています。
遠方のため、何度も現地をご案内することはできないので、ご検討くださる方が何人かいらっしゃったら、見学ツアーを組みたいと考えています。
ご関心のある方は「空き待ち」登録のページからご連絡ください。質問も随時受け付けしています。

文:久保田大介

  • この記事を書いた人

久保田 大介

『ワクワク賃貸®』編集長。有限会社PM工房社・代表取締役。 個性的なコンセプトを持った賃貸物件の新築やリノベーションのコンサルティングを柱に事業を展開している。 2018年1月より本ウェブマガジンの発行を開始。 夢はオーナーさん、入居者さん、管理会社のスタッフさんたちがしあわせな気持ちで関わっていけるコンセプト賃貸を日本中にたくさん誕生させていくこと。

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