「空き家アトリエプロジェクト」第6弾

「空き家アトリエプロジェクト」第6弾となる建物の外観
使われていない空き家を、不動産オーナー(貸主)側は内装・修繕工事等を行わないまま貸し出し、借り手は自由に改装できる(原状回復義務原則免除)という条件でアトリエ賃貸として提供いただく「空き家アトリエプロジェクト」。
第6弾となる今回は戸建て住宅の1階にある元・カラオケ喫茶だったスペースをご紹介します。
こちらの物件は今春、豊島区役所の仲介でオーナー夫妻とお会いし、それから約半年間、「空き家アトリエプロジェクト」に提供することを検討していただいてきました。
当初、私は菓子工房として提供いただくことを念頭に置いていましたが、音楽好きなオーナーより、この空間は防音仕様になっていることから、「楽器工房としてくださる方と出会えたら嬉しいです」とご要望をいただきました。保管スペースの兼ね合いもあるので、ライヤーなどの小さな楽器であれば十分いけそうです。
「もちろん菓子工房も歓迎です」と言っていただけたので、今回は主にアトリエ賃貸(楽器製作以外もOK)としてご紹介し、菓子工房を探しておられる方にも検討してもらうことといたしました。
ほかにもアートギャラリーや楽器の練習場所などにも活用できそうで、今回はさまざまな使い方をご提案しながら紹介してまいりたいと思います。
なお、こちらの物件は内装アレンジに要した費用の一部が、豊島区の「地域貢献型空き家利活用事業」の補助金の対象となる可能性があります(※対象の事業要件があり、条件に適合していることが必要となるため支給が100%保証されているわけではありません)。補助金は工事代金の2/3(最大200万円)までいただけるそうなので、大胆なリフォームにも挑戦できそうです
そのことも念頭に置いて読んでいただければと思います。
元・カラオケ喫茶だったスペース

元・カラオケ喫茶の入り口
今回「空き家アトリエプロジェクト」にご提供いただいた物件は、東京メトロ有楽町線「千川」駅から徒歩7分の場所にある、オーナーがお住まいになっている戸建ての1階の一部で、以前はお父様がここでカラオケ喫茶を営業しておられました。お父様がお亡くなりになってからは自転車などを保管する物置スペースとされてきました。

道路に面した扉を開けると小さな空間があり、もうひとつ扉がついている
店舗スペースは入り口がオーナー宅とは別になっていて、道路に面した扉を開けると小さなスペースがあり、その先にも扉がついています。

小さな空間の扉の先にはカラオケ喫茶だった店舗スペースがある
その扉を開けるとカラオケ喫茶だったスペースになります。
扉自体も防音性能が高いものになっていますが、入り口を二重に設けることで音漏れを防止できるようにしてあるというわけです。

ステージや照明、ソファー席が残されている
その2つめの扉を開けて中に入ると、カラオケ喫茶を営業していたときに使用していたステージや照明、ソファー席などがそのまま残された空間が姿を現します。

小窓側から見た元・カラオケ喫茶だった部屋
ステージやソファー席などは、まだ十分きれいなので、取り外してしまうのは惜しい気がしますが、必要がなければ撤去していただいて構わず、退去時に元に戻す必要もありません。
防音仕様になっていますので、カラオケと同等レベルの音であれば出しても大丈夫。空間としては広くないけれど、音出し作業ができるアトリエを強く欲している方には貴重な物件だと言えましょう。

「空き家アトリエプロジェクト」第6弾の間取図
間取図で表すとこんな感じです。
店舗スペースは20.63㎡(入り口を含む)、キッチンスペースは5.17㎡、トイレスペースは1.93㎡で、全体の貸室面積は27.73㎡となっています。

玄関と階段
店舗スペースの右奥にはカラオケ喫茶当時の厨房スペースが残されています。

シンクとガス台
キッチンはシンクとガス台が残っていますが、ガステーブルは撤去されているので、必要な方はご自身で設置してください。

キッチンスペースにある手洗い
キッチンスペースには手洗いが残っていて、菓子工房として利用されたい方は、この広さで大丈夫なのであれば、すぐに保健所の許可が取れると思います。

キッチン側から見た店舗スペース
しかし、菓子製造をされる場合、梱包作業や保管スペースを考えるとキッチンスペースだけでは厳しいと思われ、店舗スペースも菓子工房とする必要があるだろうと考えています。

店舗スペースの左奥にあるトイレ
トイレは店舗スペースの左奥にあります(ミラー付きの洗面台がついています)。
もし菓子工房として利用されたい場合は、先に紹介した間取図を確認してほしいのですが、トイレ室の通路部分にもう1枚扉をつけ、残ったスペースをトイレの前室とすれば、保健所の営業許可は取得できると思います。
アトリエとして利用される方は、現状がとてもきれいなので、何もしなくて大丈夫です。

カラオケ喫茶だった時に使われていた小さなステージ
再び店舗スペースに戻ります。
店舗スペースにはステージが残っていて、その背面にある壁は普通にクロスが貼ってありますが、そこに映写してスクリーン替わりに使ってみるのも面白そうだと思いました。
その線で考えると、今回の物件は楽器の練習場所や演奏会会場として利用する手もありそうです。

ステージの照明も残されていて、色を変えることができる
ステージの上部には色を変えられる照明器具が残っているので、試しに点灯してもらいました。
それを見ていたら、ほかにもたくさんの使い方が妄想されてきて、楽しくなってきました。
立地のご紹介

元カラオケ喫茶物件のMAP
今回の物件の立地もご紹介しておきましょう。
前述しましたが、最寄り駅は東京メトロ有楽町線「千川」駅で歩いて7分という距離です。
周辺は閑静な住宅街ですが、戦前は「池袋モンパルナス」とも称されたアトリエ村で、多くの美術作家を輩出した地として知られています。
現在も往時の様子がわかるアトリエがいくつか残っていて、5分も歩くと「熊谷守一美術館」に着きます。
物件のすぐそばには千早図書館があるなど文化度の高いエリアですので、アートギャラリーにも向いている立地だと感じます。
「千川」駅に向かう途中にはスーパー「ビッグ築地」があり、買い物の便もまずまず。西武池袋線「東長崎」駅までも徒歩15分で行け、そちらの商圏も利用できます。
現地説明会を開催します

元カラオケ喫茶だった店舗スペース
アトリエ、菓子工房、アートギャラリーなど、いくつかの活用方法を念頭に置きながらご紹介してまいりましたが、いかがでしたでしょうか?
私には思いもつかないような活用方法がほかにもありそうで、さまざまなジャンルの方にご検討いただきたい物件です。
今回のお家賃ですが、オーナーさんと相談し、「月額85,000円(税別)~」とさせていただくことにしました。
リフォームにさほど費用がかからないと思うので、お手ごろな感じがしています。
関心を持ってくださった方は、現地説明会を開催しますので、是非お運びください。
現地説明会は2026年1月上旬から中旬にかけて開催したいと考えています。
現地説明会への参加をご希望くださる方は、下記のメールバナーを使い、2025年12月18日までにお申し込みください。
日程は、参加申込者さんとオーナーさんの希望を伺って調整します。
いつもと同様、参加費用はかかりませんし、現地説明会への参加イコール入居申込みではありませんので、気楽にエントリーしていただけたらと思います。
冒頭で触れましたが、今回は豊島区の「地域貢献型空き家利活用事業」の補助金の対象となる可能性があります。
作品展示やワークショップ、料理教室など地域に開かれた活動を行っていただくことなど諸条件を満たしていただければ(※審査はあります)、工事代金の2/3(最大200万円)を補助していただける可能性があるので、現地説明会ではそのご案内もしたいと思っております。
皆様のご参加をお待ちしています。
文:久保田大介

