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《 コレクティブハウスの暮らし 》Vol.010

賃貸で高齢者が一人暮らしを継続できる仕組みのヒントはコレクティブハウスにある

投稿日:2021年10月28日 更新日:

皆さん、こんにちは。コレクティブ研究家の久保有美です。
私はコレクティブな暮らし方=「つながり、ともに働く、フラットな関係」という暮らし方について日々考え活動しています。

私の暮らしているコレクティブハウスには0歳児から70代までという多世代の人たちが暮らしています(2021年2月末現時点)。前回は、病気になった時に一人暮らしでもコレクティブハウスなら安心して休んでいられる、ということをお伝えしました。

病気は何歳であっても困ることですよね。そして、歳は毎年確実にひとつずつ重ねていきます。絶対的に覆ることのない事実です。賃貸業界でも、物件の老朽化のことはよく考えられますが、長年住んでくれている入居者が物件の築年数とともに歳を重ねていることに気づきにくいようです。

また、賃貸物件は高齢になれば借りにくいということが問題視されるようになってきています。業界団体なども高齢になっても賃貸で暮らし続けることのできるように啓蒙活動を始めています。国土交通省が定めた2021年度からの住生活基本計画(全国計画)でも、「福祉政策と一体となった受託確保要配慮者の入居・生活支援」として、住宅・福祉部局の一体型・ワンストップ対応によって、高齢者や障害者などの住宅確保が難しい・配慮が必要とされる人に対しての施策が進んでいます。

<出典:国土交通省・住生活基本法資料 一部抜粋>

コレクティブハウスは、ごく一般的な賃貸物件とは違います。このコラムでもお伝えしているように、コレクティブハウスに住む居住者は話し合いをしながら、大家さんとも連携をして、自分たちの暮らしをどのように作り継続していくのかを決めて、自主運営しています。その暮らしの中では、年齢差によってできること・できないことがあり、年齢によって配慮が必要な点があることも居住者自身が気づき、対応をしています。そんな暮らしだから、高齢になっても住み続けることができる賃貸住宅となるのだと思います。

昨年(2020年)から、コレクティブハウス聖蹟では「セーフティネットグループ」というグループをつくりました。このグループでは高齢になっても住み続けるにはどんな課題があるのか、それらを解決するにはどのような仕組みが必要なのかを考えています。

前回の病気になった時のエピソードにも通じますが、自宅療養ではなく救急で運ばれたり、入院したりすることとなった時には、遠くに住む家族がすぐに駆けつけてくれるかどうかわかりません。まして長期的な入院になれば、さまざまな対応が必要になってきます。

ハウスでも、夜にご高齢の方が体調を崩されて、ハウスの居住者が病院へ一緒に行ったことがあります。その後、入院手続きを手伝ったり、入院中に必要なものを揃えたりと手伝える居住者が力を合わせて対応しました。

その入院した居住者は1週間程度で退院し、今もお元気にハウスで暮らしていらっしゃいます。しかし、ご親族も健在でなく、ご友人も同じく高齢ということで、今後同様のことがあった場合どうしたらいいかというご本人の不安が顕在化しました。また、コレクティブハウス全体としても、再び同様のことがあった場合に、どうしたらいいのか、何ができるのか、ということを考え、セーフティネットグループを具体的につくるきっかけにもなったのです。

「コレクティブハウス聖蹟」では、居住者組合・大家さん・コーディネーター会社の三者の協働で高齢者や子育て家族などを含むさまざまな居住者が、仕組みを持つ安心できる暮らしを実現しています。

コレクティブハウス聖蹟の運営コーディネートを依頼している特定非営利活動法人コレクティブハウジング社は、東京都指定の居住支援法人でもあります。セーフティネットグループでは、コーディネーターとも協働し、さまざまなシチュエーションを想定しながら、安心して暮らし続けることのできる仕組みを考え始めています。

普通の賃貸で、高齢で親族もいない、知人友人も少ない、となった時、周りに頼れる人はほぼいません。そんな時に病気になったり、救急車を呼ぶような状況になったりしたらどうすればよいか、わからなくなってしまうと思います。そして病院から退院する時にもともとの住まい(賃貸)に戻れる可能性があるのか、賃貸一人暮らしが続けられるのかという大きな課題があります。一人暮らしでも福祉行政のサービスをいろいろと使いながら暮らせるのか、それとも施設に入るのかなどは、金銭的にも負担が違ってくることから、高齢者にとって大きな課題です。

一方、コレクティブハウスでは、居住者・大家さん・コーディネーターの三者が協働で運営をしています。ですので、大家さんとも必要に応じてコミュニケーションをとって連携しています。信頼関係がすでに構築されており、何かあった時には状況を説明し、どのように対応をしていくかを考えていくことができます。

また、コレクティブハウスの居住者である私も、家族ではないし、友人でもないけれど、よく知っている他人であるからこそ、何か力になれることがあるのでは、と考えています。他の居住者が困っている時には手を貸したい、その気持ちを多く持てる暮らしではないかな、と個人的にも思っています。

もちろん、知人・友人というだけではできないこともたくさんあります。たとえば病院で付き添いはできても、医療行為についての同意はできません。また知人だからといって困っていることの全部を善意だけで代行することもできません。他人の善意が本人にとってマイナスになる(精神的な負担になる)可能性もあります。そこで法律的・倫理的に何ができて、何ができないのかを整理することからセーフティネットグループで始めました。

そんな中での、新型コロナウィルスの蔓延。2020年・2021年のセーフティネットグループの活動は、新型コロナウィルスの感染拡大防止について対応することが多いですが、これも、コレクティブハウスで暮らし続けるためにどんな仕組みが必要なのかを考える活動で、グループとして大事なことだと思っています。

コレクティブハウスの暮らしでは、日々の生活の中で人との関わりが中心にあります。それは毎日顔を合わすとか、挨拶をするとか、そういう目に見える明らかなことだけではありません。他の人の暮らしの気配があり、ハウスの誰かが自分のことを気にかけてくれている、という目に見えない感じだと思います。一人暮らしだけれど、独り暮らしではない、ということでもあると思います。

誰と、どんなふうなつながりがあるかによって、その人の暮らしは大きく変わります。病気になった時、有事の時、困った時に頼れる人がいるってすごく大事だなと思います。そして、そのつながりをつくるかつくらないかは自分で決めることができますし、コレクティブハウスという仕組みのある暮らしを選ぶことでつくることもできます。

仕組みからつながりをつくれることをいろいろな方に知っていただけるといいなと思っています。

文:久保有美

  • この記事を書いた人
久保 有美

久保 有美

不動産フリーエージェント。京都出身(京都いうても西の方) 好きな数字:3&9 宅地建物取引士 社会福祉士 賃貸不動産経営管理士 大学でコレクティブハウスという暮らし方に出会う。京都でコレクティブをやりたいと言い続け、建築会社・不動産コンサルティング会社を経て2021年に独立。 新たな暮らし方の提案、福祉と不動産の連携を目指す。

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